【公開日:2023.07.28】【最終更新日:2023.05.30】
課題データ / Project Data
課題番号 / Project Issue Number
22AT0156
利用課題名 / Title
ECRスパッタ装置によるNb細線の作製
利用した実施機関 / Support Institute
産業技術総合研究所 / AIST
機関外・機関内の利用 / External or Internal Use
内部利用(ARIM事業参画者以外)/Internal Use (by non ARIM members)
技術領域 / Technology Area
【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)加工・デバイスプロセス/Nanofabrication(副 / Sub)-
【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)量子・電子制御により革新的な機能を発現するマテリアル/Materials using quantum and electronic control to perform innovative functions(副 / Sub)-
キーワード / Keywords
超伝導体,Nb細線,低角ミリング
利用者と利用形態 / User and Support Type
利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)
井上 悠
所属名 / Affiliation
産業技術総合研究所
共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes
ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes
利用形態 / Support Type
(主 / Main)機器利用/Equipment Utilization(副 / Sub)-
利用した主な設備 / Equipment Used in This Project
AT-093:高速電子ビーム描画装置(エリオニクス)
AT-098:ECRスパッタ成膜・ミリング装置
報告書データ / Report
概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)
量子コンピュータや断熱情報処理などの次世代コンピューティング技術が注目を集める中で、超伝導体を微細加工して素子を作製する技術が求められている。現状では、シリコンや一部の酸化物上における加工技術は確立しつつあるが、その他一般の物質上に超伝導体の微細構造を作製することは容易ではない。特に単元素で比較的超伝導転移温度の高いNbがしばしば用いられるが、スパッタリング法による成膜とリフトオフによる微細素子作製は、レジスト側面への回り込みが多いため、プロセスの最適化が必須である。
本研究では、任意の物質上へのNb細線作製を目的として、スパッタリング法と、低角ミリングを組み合わせて、リフトオフ法により細線の作製を行った。
実験 / Experimental
使用した主な装置:
・【NPF093】高速電子ビーム描画装置(エリオニクス)
・【NPF098】ECRスパッタ成膜・ミリング装置
実験手順:
1. Si/SiO2基板上に電子線レジストPMMAをスピンコート(5000 rpm、60秒)。
2. 150℃で5分間プリベーク。
3. 130 kV高速電子ビーム描画装置を用いて、ビーム電流1 nA、ドーズ量750 μC/cm2で露光。
4. MIBK:IPA = 1:2の溶液で現像。
5. ECRスパッタ装置で、表面のクリーニング(加速電圧200 V、26秒)。
6. ECRスパッタ装置で、Nb電極の製膜(加速電圧1000 V、膜厚20 nm)。
7. ECRスパッタ装置で、レジストパターンの側面をミリング(加速電圧400 V、角度30°)
8. 80℃に加温したN-メチル-2-ピロリドンでリフトオフ。
9. 走査型電子顕微鏡(SEM)で観察。
結果と考察 / Results and Discussion
作製したNb細線のSEM像をFig. 1(a)に示す。細線幅は1 μm、細線間のギャップは500 nmである。細線の周りに綿状の残留物が見える。これは、側面ミリング中に変質した残留レジストと考えられる。残留物除去のために、ミリング後の酸素プラズマによるアッシングが有効と考える。
同様にして作製したNb薄膜(厚さ120 nm)の電気抵抗の温度依存性をFig. 1(b)に示す。温度1.8 Kまで、超伝導転移は観測されなかった。温度の低下に伴って抵抗が上昇傾向であることから、Nbの膜質不良が原因と考えられる。Nb成膜レートが2 nm/minと非常に遅かったことから、この問題はレートを早くすることで解決すると考えられる。
図・表・数式 / Figures, Tables and Equations
Fig.1(a) SEM image of Nb wires, (b) Temperature dependence of resistivity of a Nb thin film.
その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)
競争的資金:JSPS科研費 20K14398、住友財団基礎科学研究助成 190650。
産業技術総合研究所ナノプロセシング施設の赤松雅洋様、郭哲維様、佐藤平道様、中島忠行様に支援いただきましたことを感謝いたします。
成果発表・成果利用 / Publication and Patents
論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
特許 / Patents
特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件