利用報告書 / User's Reports


【公開日:2023.07.28】【最終更新日:2023.05.30】

課題データ / Project Data

課題番号 / Project Issue Number

22AT0108

利用課題名 / Title

中赤外表面プラズモンフォノンデバイスの構築

利用した実施機関 / Support Institute

産業技術総合研究所 / AIST

機関外・機関内の利用 / External or Internal Use

外部利用/External Use

技術領域 / Technology Area

【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)加工・デバイスプロセス/Nanofabrication(副 / Sub)-

【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)量子・電子制御により革新的な機能を発現するマテリアル/Materials using quantum and electronic control to perform innovative functions(副 / Sub)-

キーワード / Keywords

中赤外表面プラズモンフォノン, バイオセンシング, 表面フォノンポラリトン(SPhP), 表面伝搬波, 表面増強分光, 近接場イメージング


利用者と利用形態 / User and Support Type

利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)

松井 裕章

所属名 / Affiliation

東京大学

共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes
ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes
利用形態 / Support Type

(主 / Main)機器利用/Equipment Utilization(副 / Sub)-


利用した主な設備 / Equipment Used in This Project

AT-023:電子ビーム真空蒸着装置


報告書データ / Report

概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)

 赤外領域で発現する分子の振動や回転に基づく光吸収の存在は、高感度なバイオセンシングの応用に向けた重要な物理的性質の一つである。本研究では、結晶表面を伝搬る表面フォノンポラリトン(SPhP)に着目し、上述の課題解決を図るべくバイオセンシング技術の開拓を目指す。SPhPは、極性結晶中の光学フォノンと電磁場の結合によって生じる表面伝搬波である。小さな伝播損失や先鋭な共鳴ピークから算出される性能指数(Q-factor)が高いため、表面増強分光・近接場イメージング等への応用が期待されている。SPhPは表面プラズモン(SPR)と同様に空気中の伝搬光と比べ波数が大きいため、SPRと同様に直接励起は出来ない。故に、ZnO:Gaキャビティ構造内に形成されるSPRエネルギーをSPhP励起に利用し、高感度な赤外バイオセンシングを目指す。

実験 / Experimental

 ZnO:Ga マイクロホール構造(200 nm高さ, 電子濃度:~1021 cm-3)を、異なる基板(TiO2, Al2O3,CaF2,4H-SiC)上にレーザーフォトリソグラフィー(トップダウン手法)とパルスレーザー堆積(PLD)法を用いて作製した。最後に、電子ビーム真空蒸着装置【NPF023】を用いてAl2O3でcapping(層厚:10nm程度)を行った。ZnO:Gaホール構造と外環境(空気や水溶液)との反応を抑制する。

結果と考察 / Results and Discussion

 図1に、Al2O3(0001)基板上にZnO:Gaマイクロホール構造を持った試料の角度可変偏光反射分光計測の結果を示す。s波とp波励起で大きさ差異が観測され、p波励起では960及び810 cm-1に特徴的な反射ディップが見られた(ただし、500及び600 cm-1に観測される反射ディップはZnO及びAl2O3基板のバルクフォノンに関係する)。965 cm-1の共鳴ピークでは、Al2O3の誘電率は正(Re[ε] = 0.57:ENZ領域)を示し、一方、810 cm-1の共鳴ピークにおけるAl2O3の誘電率は負(Re[ε] = -1.59)を与えた。故に、965 cm-1の共鳴はZnO:Gaキャビティ励起に関与し、801 cm-1の共鳴は表面フォノンが関係する。
 故に、マイクロホール内のキャビティ励起が4H-SiC表面上へフォノン伝搬励起を誘起したと考えられ、それはキャビティ内に担架された生体分子を効率良く表面検出が可能な手法として期待される。

図・表・数式 / Figures, Tables and Equations


図1. Al2O3基板上のZnO: Gaキャビティ構造の角度分解反射スペクトル (左:P偏光 右:S偏光)。


その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)


成果発表・成果利用 / Publication and Patents

論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
  1. Hiroaki Matsui, Infrared Plasmonic Metamaterials Based on Transparent Nanoparticle Films of In2O3:Sn for Solar-Thermal Shielding Applications, ACS Applied Materials & Interfaces, 14, 49313-49325(2022).
    DOI: https://doi.org/10.1021/acsami.2c14257
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
特許 / Patents

特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件

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