利用報告書 / User's Reports


【公開日:2023.07.28】【最終更新日:2023.05.29】

課題データ / Project Data

課題番号 / Project Issue Number

22AT0026

利用課題名 / Title

Siイオン注入したα-Al2O3の電気的特性

利用した実施機関 / Support Institute

産業技術総合研究所 / AIST

機関外・機関内の利用 / External or Internal Use

外部利用/External Use

技術領域 / Technology Area

【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)加工・デバイスプロセス/Nanofabrication(副 / Sub)-

【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)高度なデバイス機能の発現を可能とするマテリアル/Materials allowing high-level device functions to be performed(副 / Sub)-

キーワード / Keywords

ワイドギャップ半導体,電力変換素子,サファイヤ(α-Al2O3),Siイオン注入


利用者と利用形態 / User and Support Type

利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)

奥村 宏典

所属名 / Affiliation

筑波大学

共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes
ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes
利用形態 / Support Type

(主 / Main)機器利用/Equipment Utilization(副 / Sub)-


利用した主な設備 / Equipment Used in This Project

AT-023:電子ビーム真空蒸着装置
AT-082:化合物半導体エッチング装置(ICP-RIE)


報告書データ / Report

概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)

 低炭素社会実現に向けて、ワイドギャップ半導体を用いた高効率な電力変換素子の開発が進められている。一般的にバンドギャップエネルギー(Eg)が大きい程、絶縁破壊電界強度が大きくなり、高耐圧特性に優れる。サファイヤ(α-Al2O3)は、Egが9 eV近くあり、究極的な高耐圧素子用材料になりうる。しかし、α-Al2O3は絶縁体として知られており、室温で電気を流した報告は皆無である。
 今回、イオン注入法により高濃度Siを添加したα-Al2O3試料を用い、産総研NPFと筑波大学の共用設備を利用して素子作製と電気的特性評価を行うことで、世界で初めてサファイヤに電気を流すことに成功した。

実験 / Experimental

・利用した主な装置
【NPF023】電子ビーム真空蒸着装置
【NPF082】化合物半導体エッチング装置(ICP-RIE)

・実験方法
 m面α-Al2O3基板に直接5x1014 cm-2のドーズ量でSiイオン注入を行った。注入損傷低減のため、N2雰囲気で1100~1700度30分間の熱処理を行った。電流の回り込み抑制のため、ICP-RIEでメサ加工を施した。電極として、Ti(20 nm) / Au(50 nm)を蒸着し、N2雰囲気で600~800度1分間の熱処理を行った。熱処理後のSi濃度の深さ方向プロファイルと表面モフォロジを図1に示す。

結果と考察 / Results and Discussion

 様々な温度で損傷回復を試みた試料の電流特性を図2(a)に示す。室温でも導電性が得られ、熱処理温度1300度でµAレベルの電流を実現した。また、様々な温度で電極の合金化を行った試料の電流特性を図2(b)に示す。850度が最適であることが分かった。

図・表・数式 / Figures, Tables and Equations


Fig.1: (a) Depth profile of Si in Si-implanted α-Al2O3 (10-10) by SIMS. (b) Surface morphology of α-Al2O3:Si after annealing 1500℃.



Fig.2: Current-voltage characteristics of m-plane Si-implanted Al2O3 with various (a) annealing and (b) sintering temperatures.


その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)

・NEDO先導研究プログラム/未踏チャレンジ「酸化アルミニウムを用いた低価格パワーデバイス」
・他の機関の利用:筑波大学


成果発表・成果利用 / Publication and Patents

論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
  1. Hironori Okumura, Optical and electrical properties of silicon-implanted α-Al2O3, Japanese Journal of Applied Physics, 60, 106502(2021).
    DOI: 10.35848/1347-4065/ac21af
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
特許 / Patents

特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件

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