利用報告書 / User's Reports


【公開日:2023.07.31】【最終更新日:2023.05.15】

課題データ / Project Data

課題番号 / Project Issue Number

22UT0411

利用課題名 / Title

ナノバイオデバイスの材料分析

利用した実施機関 / Support Institute

東京大学 / Tokyo Univ.

機関外・機関内の利用 / External or Internal Use

内部利用(ARIM事業参画者以外)/Internal Use (by non ARIM members)

技術領域 / Technology Area

【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)計測・分析/Advanced Characterization(副 / Sub)-

【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)次世代バイオマテリアル/Next-generation biomaterials(副 / Sub)-

キーワード / Keywords

電子顕微鏡/Electron microscopy,蒸着・成膜/Evaporation and Deposition,スパッタリング/Sputtering,成形/Molding,リソグラフィ/Lithography,膜加工・エッチング/Film processing and Etching,電子顕微鏡/Electron microscopy,バイオアダプティブ材料/ Bioadaptive materials,生分解性材料/ Biodegradable material,ウエアラブルデバイス/ Wearable device


利用者と利用形態 / User and Support Type

利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)

竹原 宏明

所属名 / Affiliation

東京大学

共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes
ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes
利用形態 / Support Type

(主 / Main)機器利用/Equipment Utilization(副 / Sub),技術補助/Technical Assistance


利用した主な設備 / Equipment Used in This Project

UT-102:高分解能走査型分析電子顕微鏡


報告書データ / Report

概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)

超高齢化社会の進展に伴い、患者数の急速な増加に起因する医療システムの逼迫が懸念されている。予防医療・早期診断/治療に寄与する医療技術の創出が求められており、生体情報をモニタリングする低侵襲型医療デバイスが有用であると期待されている[1,2]。近年、体内で安全に分解・吸収される生体吸収性材料で構成される生体吸収性エレクトロニクスの医療デバイス応用に向けた研究が進められてる[3]。一方で、生体吸収性エレクトロニクス特有の課題として、生理的環境下における安定性が低く、金属/高分子界面で剥離・破損が生じやすい点が挙げられる。本研究では、生体内で長期間安定に動作する生体吸収性エレクトロニクスの実現を目指し、生体吸収性金属/高分子材料の微細配線加工プロセスに関する研究を実施した。

実験 / Experimental

以下のプロセスにより、生体吸収性高分子材料であるポリ-L-乳酸(PLLA)及びMo金属を用いた微細配線構造を形成した。基板材料として、生体吸収性高分子材料であるポリ-L-乳酸(PLLA)を用いた。PLLA基板表面を酸素プラズマで処理した後、スパッタリング法によりモリブデン(Mo)薄膜を成膜した。また、PLLA/Mo界面のレーザーアニーリング処理を行った。レーザーアブレーションによりMo薄膜を電極形状(設計幅 100 μm, 電極間隔 200 μm)に加工した。37℃に保持したリン酸緩衝液(PBS, pH 7.4)中に加工したPLLA基板を浸漬し、浸漬後のMo電極の残留面積率により、生理的環境下におけるPLLA/Mo界面の安定性を評価した。

結果と考察 / Results and Discussion

走査型電子顕微鏡法及びエネルギー分散型X線分光法により、PLLA基板表面で加工したMo電極形状が確認された。また、PLLA/Mo界面のレーザーアニールによる局所界面加熱により、PLLA/Mo界面の安定性が向上することが明らかとなった。PLLA基板からのMo電極剥離は、PLLA基板がPBSを吸収し膨潤したことによりPLLA/Mo界面に生じた引張応力、およびPLLAの加水分解による界面の化学結合の切断に起因するものと考えられる。一連の検討より、生体内で長期間安定に動作する生体吸収性エレクトロニクスの実現に向けて、生体吸収性金属/高分子材料の微細配線プロセスを構築した。レーザーアブレーションプロセス及び金属/高分子界面レーザーアニールにより、生理的環境下における安定性を向上した微小電極の形成が可能であることが示唆された。

図・表・数式 / Figures, Tables and Equations
その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)

[1] Y. Kanda, et al., Jpn. J. Appl. Phys., 58, SDDK05, 2019. [2] Y. Choi, et al., Nat. biotechnol., 39, 1228–1238, 2021. [3] S. Kang, et al., Nature, 530, 71-76, 2016.


成果発表・成果利用 / Publication and Patents

論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
  1. Hiroaki Takehara, “Microfabrication processes of biomedical materials towards implantable electronic and optical devices”, 39th International Conference of Photopolymer Science and Technology, June 29th, 2022.
  2. 竹原宏明, "医用デバイス材料・プロセス技術を基盤とする低侵襲体内センサの研究開発", センサ&IoTセミナー2022, (2023年2月27日)
  3. Kazuki Shimada, Hiroaki Takehara, and Takanori Ichiki, “Microwiring process for bioabsorbable electronics” 39th International Conference on Photopolymer Science and Technology (ICPST-39), June 29th, 2022
  4. Kazuki Shimada, Hiroaki Takehara, and Takanori Ichiki, “Microfabrication process of polymer/metal laminates for bioabsorbable electronics” 35th International Microprocesses and Nanotechnology Conference (MNC 2022),November 10th, 2022
  5. 島田一輝, 竹原宏明, 一木隆範 「電解質溶液中で機能する生体吸収性電極の作製と評価」 第83回応用物理学会秋季学術講演会, 22p-A105-9, ハイブリット開催, (2022年9月22日)
  6. 島田一輝, 竹原宏明, 一木隆範 「生体電気計測に向けた生体吸収性マイクロニードルの開発」 第70回応用物理学会秋季学術講演会, 18a-E102-10, ハイブリット開催(2023年3月18日)
特許 / Patents

特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件

印刷する
PAGE TOP
スマートフォン用ページで見る