利用報告書 / User's Reports


【公開日:2023.07.31】【最終更新日:2023.05.16】

課題データ / Project Data

課題番号 / Project Issue Number

22UT0328

利用課題名 / Title

不秩序系における熱輸送の理解へ向けた非晶質・準安定材料の構造評価

利用した実施機関 / Support Institute

東京大学 / Tokyo Univ.

機関外・機関内の利用 / External or Internal Use

内部利用(ARIM事業参画者以外)/Internal Use (by non ARIM members)

技術領域 / Technology Area

【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)計測・分析/Advanced Characterization(副 / Sub)-

【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)革新的なエネルギー変換を可能とするマテリアル/Materials enabling innovative energy conversion(副 / Sub)量子・電子制御により革新的な機能を発現するマテリアル/Materials using quantum and electronic control to perform innovative functions

キーワード / Keywords

石英・ガラス系材料,薄膜,断熱材料,電子顕微鏡/Electron microscopy,X線回折/X-ray diffraction,電子分光


利用者と利用形態 / User and Support Type

利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)

鎮目  邦彦

所属名 / Affiliation

東京大学

共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes

永廣怜平

ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes
利用形態 / Support Type

(主 / Main)機器利用/Equipment Utilization(副 / Sub),技術補助/Technical Assistance


利用した主な設備 / Equipment Used in This Project

UT-854:オージェ分光分析装置
UT-202:高輝度In-plane型X線回折装置
UT-855:高精細電子顕微鏡
UT-006:ハイスループット電子顕微鏡
UT-010:クライオ透過型/透過走査型電子顕微鏡


報告書データ / Report

概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)

緻密断熱材料の開発を目指し、種々条件下でアモルファス窒化シリコン薄膜を成膜し熱伝導率を評価した。また、ベイズ最適化を用いて低い熱伝導率を達成する成膜条件の探索を実施した。熱伝導率を導出する上では薄膜の体積比熱と膜厚が既知である必要があるため、東京大学の設備を利用して薄膜の組成及び密度の定量と膜厚の測長を実施した。

実験 / Experimental

種々の条件下でSi基板上にスパッタ成膜したアモルファス窒化シリコン薄膜に対し、オージェ分光分析装置(PHI680)を用いて組成を、高輝度In-plane型X線回折装置(SmartLab(9kW))を用いて密度をそれぞれ定量した。高精細電子顕微鏡(Regulus 8230)を用いて薄膜の断面SEM観察を行い膜厚を測長した。また、当研究室(東京大学・熱エネルギー工学研究室)においては、周波数領域サーモリフレクタンス法(FDTR)による熱計測を実施して熱伝導率を導出した。

結果と考察 / Results and Discussion

作製した窒化シリコン薄膜の内、代表10サンプルに対して組成と密度を定量した。Fig. 1に示すオージェスペクトルにみられるように薄膜中には不純物としてFeとOの混入が確認されたため、Si, N, O, Feに着目し組成を定量した。また、X線反射率スペクトルから臨界角を特定し密度を導出した。得られた組成と密度から、ノイマンコップの法則に基づいて体積比熱は1.8–2.4 J/cm3Kと推定された。Fig. 2に薄膜の断面SEM像の例を示す。薄膜とSi基板の間にはコントラスト差があり、膜厚を測長することができた。今回のサンプル構成(薄膜/基板の厚さ・体積比熱・熱伝導率等)であればFDTRにおける体積比熱の感度は小さいことが予想されたため、研究効率のために全ての薄膜の体積比熱を一律で2.2 J/cm3Kと仮定することとした。ベイズ最適化による成膜条件の改善も併用して全60のサンプルを作製してFDTRによって熱伝導率を評価した。その結果、最も熱伝導率が低いサンプルは0.54 W/mK(膜厚100 nm)であり、既報のSi, N, Oからなる類似材料と比べて最低レベルの熱伝導率が達成されている[1]。

図・表・数式 / Figures, Tables and Equations


Fig. 1 Representative auger spectrum of  silicon nitride thin film.



Fig. 2 Representative cross-section SEM image of silocon nitride thin film.


その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)

参考文献 [1] W. X. Zhou et al., Adv. Funct. Mater., (2010) 30, 1903829.
CREST(JST)JPMJCR21O2「QR-Loop巨大連続空間探索による不秩序熱機能材料の革新」
共同研究者:国立研究開発法人物質・材料研究機構 後藤真宏様、佐々木道子様


成果発表・成果利用 / Publication and Patents

論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
  1. 鎮目邦彦, 永廣怜平, 佐々木道子, 後藤真宏, 塩見淳一郎, "成膜プロセスの変調を通じたアモルファス膜の熱伝導の制御と理解"第83回応用物理学会秋季学術講演会(仙台),令和4年9月22日
特許 / Patents

特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件

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