利用報告書 / User's Reports


【公開日:2023.07.31】【最終更新日:2023.05.17】

課題データ / Project Data

課題番号 / Project Issue Number

22UT0306

利用課題名 / Title

残留γ制御を通じたNi鋼の液化水素貯槽用材料としての適合性

利用した実施機関 / Support Institute

東京大学 / Tokyo Univ.

機関外・機関内の利用 / External or Internal Use

内部利用(ARIM事業参画者以外)/Internal Use (by non ARIM members)

技術領域 / Technology Area

【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)計測・分析/Advanced Characterization(副 / Sub)-

【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)革新的なエネルギー変換を可能とするマテリアル/Materials enabling innovative energy conversion(副 / Sub)-

キーワード / Keywords

Ni鋼,極低温,TRIP鋼,破壊靭性,ミクロ組織,電子顕微鏡/Electron microscopy,イオンミリング/Ion milling,X線回折/X-ray diffraction,水素貯蔵/ Hydrogen storage


利用者と利用形態 / User and Support Type

利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)

長谷川  優

所属名 / Affiliation

東京大学

共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes
ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes
利用形態 / Support Type

(主 / Main)機器利用/Equipment Utilization(副 / Sub)-


利用した主な設備 / Equipment Used in This Project

UT-103:高分解能走査型電子顕微鏡
UT-153:クロスセクションポリッシャー(CP)


報告書データ / Report

概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)

本研究では、LNGタンクなどの極低温貯蔵の鋼材として実績のある9%Ni鋼に関して、その低温破壊靭性に関与する因子を微細組織観察などにより調査し、大型液化水素貯蔵タンクへのNi鋼の適用可否を検討した。

実験 / Experimental

本研究では、すでに二度の焼き入れ焼き戻し工程を踏んだ9%Ni鋼に対して、5種類の異なる熱処理(Table1)を行った試験片に対してそれぞれ極低温(液体窒素下)での引張試験・圧縮試験による予歪み付与と、3面シャルピー衝撃試験を行い破壊靭性や、極低温での微細構造(主にγ相)の変化を観察した。

結果と考察 / Results and Discussion

微細構造の観察より、残留γ量のみが破壊靭性の支配因子ではないこと、γ中の炭素濃度は破壊靱性に影響を与える可能性があることがわかった。 9%Ni鋼にてオーステナイト減少量に及ぼす引張と圧縮の予歪の影響はほぼ同じであり、SUS316Lなどの準安定オーステナイト鋼と異なる挙動を示す。 粒界角 3°ごとにそれぞれの粒界長さの割合を計測したところ、42~45°の粒界角の割合が減少しているためこの角度にもっとも力が集中することが考えられる。そしてこの角度帯に分布するγが減少していた。このことから応力を集中的に受けたであろう、この角度(39~45°)に分布していたγが最初に変態していることが分かる。ひずみを測定したKAMmapと比較したところ、KAMの値の高い大きな歪みが生じている場所のほとんどが粒界角度 39°~45°の分布と一致する。したがって 45°付近の粒界割合の減少はこの部分に応力が集中していることが原因であり、それによりこの粒界に分布するγは変態していることが分かった。 

図・表・数式 / Figures, Tables and Equations


Table1


その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)

[1] 出口ら, 日本造船学会論文集167, 271-277.[2] 古谷,名古屋大学博士論文,2016[3] 諸星璃月:卒業論文,東京大学(2022年)


成果発表・成果利用 / Publication and Patents

論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
特許 / Patents

特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件

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