【公開日:2023.07.31】【最終更新日:2023.05.16】
課題データ / Project Data
課題番号 / Project Issue Number
22UT0282
利用課題名 / Title
金属塩化物の高温加水分解反応中間体観察
利用した実施機関 / Support Institute
東京大学 / Tokyo Univ.
機関外・機関内の利用 / External or Internal Use
外部利用/External Use
技術領域 / Technology Area
【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)計測・分析/Advanced Characterization(副 / Sub)-
【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)革新的なエネルギー変換を可能とするマテリアル/Materials enabling innovative energy conversion(副 / Sub)次世代ナノスケールマテリアル/Next-generation nanoscale materials
キーワード / Keywords
磁性材料,電子顕微鏡/Electron microscopy
利用者と利用形態 / User and Support Type
利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)
山本 雅納
所属名 / Affiliation
東京工業大学
共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes
ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes
利用形態 / Support Type
(主 / Main)機器利用/Equipment Utilization(副 / Sub)-
利用した主な設備 / Equipment Used in This Project
報告書データ / Report
概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)
マグネタイト (Fe3O4) を得る反応としてSchikorr反応と呼ばれる均一系反応が古くから知られており、また反応生成物としてのマグネタイト粒子のナノレベルでの形状制御も精力的に研究がなされている。これに対して、塩化鉄 (FeCl2) 乃至はその水和物を直接マグネタイトへと直接変換する固相反応については、産業的な有用性が期待されながらも、検討例に乏しい。申請者らは、1気圧の水蒸気を供給して500度で塩化鉄(II)をマグネタイトへと変換できること、および得られた生成物のバルク分析・不定比性分析並びに表面化学的知見から、「反応が二段階で進行すること」および「表面反応が化学量論で予測されるよりも過剰に進行して外側に絶縁Fe2O3層を形成することで内側Fe3O4が保護されていると考えられること」を明らかにしつつある。また、速度論的同位体効果を評価することで、界面での水素発生/酸化還元反応が反応全体での律速過程 (Ea‡ = 69 kJ mol‒1) であることを明らかにしている。本申請課題では、得られた固体生成物(主としてマグネタイト)およびその反応中間体に関して、走査電子顕微鏡により形状評価を行うとともに、エネルギー分散型X線分光法によりサブマイクロメートルレベルでの元素組成について評価を行った。
実験 / Experimental
粉体試料をカーボンテープ状に固定し、JSM-7800 Primeを用いて走査電子顕微鏡 (SEM) 像を撮影した。またJED-2300Fを用いてエネルギー分散型X線分光法を評価することで、サブマイクロメートルレベルの分解能での原子分布像を得た。
結果と考察 / Results and Discussion
取り扱う材料は磁性材料であることから、WDを十分に確保しながらSEM測定を行った。その結果、反応物である塩化鉄および500度における反応生成物であるFe3O4が10 μM前後の粗粒子であるのに対して、350度で生焼けの状態にして得た反応中間体では、1 μm以下の細かい粒子が得られていることが分かった。このファインな反応中間体は、他の分析結果より、化学組成Fe1‒yOで示される非晶質ウスタイトであると考えられる。SEM結果より、本反応は、材料の構造変化を伴う「トポケミカルではない」固相反応であることが明らかとなった。
図・表・数式 / Figures, Tables and Equations
その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)
本課題研究遂行に際し、森山様、福川様、および近藤様(東大ナノテクプラットフォーム)からご丁寧な技術支援を賜りましたこと、深く感謝します。
成果発表・成果利用 / Publication and Patents
論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
特許 / Patents
特許出願件数 / Number of Patent Applications:1件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件