【公開日:2023.07.31】【最終更新日:2023.05.16】
課題データ / Project Data
課題番号 / Project Issue Number
22UT0269
利用課題名 / Title
生体吸収性高分子/金属積層体の微細加工プロセス
利用した実施機関 / Support Institute
東京大学 / Tokyo Univ.
機関外・機関内の利用 / External or Internal Use
内部利用(ARIM事業参画者以外)/Internal Use (by non ARIM members)
技術領域 / Technology Area
【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)計測・分析/Advanced Characterization(副 / Sub)加工・デバイスプロセス/Nanofabrication
【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)マルチマテリアル化技術・次世代高分子マテリアル/Multi-material technologies / Next-generation high-molecular materials(副 / Sub)次世代バイオマテリアル/Next-generation biomaterials
キーワード / Keywords
走査プローブ顕微鏡/Scanning probe microscopy,スパッタリング/Sputtering,生分解性材料/ Biodegradable material,異種材料接着・接合技術/ Dissimilar material adhesion/bonding technology
利用者と利用形態 / User and Support Type
利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)
倉持 宏実
所属名 / Affiliation
東京大学
共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes
島田一輝,稲田瑞樹,神田循大,福原真拓
ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes
利用形態 / Support Type
(主 / Main)技術補助/Technical Assistance(副 / Sub),機器利用/Equipment Utilization
利用した主な設備 / Equipment Used in This Project
報告書データ / Report
概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)
疾患の早期診断には、生体情報をモニタリングする埋め込み型デバイスが有用であるが、破損時の体内残留リスクを軽減するため、生体吸収性エレクトロニクスの開発が進められている。しかし、生体吸収性エレクトロニクス特有の課題として、生理的環境下における安定性が低く、金属/高分子界面で容易に破損することが挙げられ、被覆なしに24時間以上安定に動作するデバイスの作製は困難である。本研究では、生体内で長期間安定に動作する生体吸収性エレクトロニクスの開発を目指し、生体吸収性金属/高分子材料の微細配線プロセスを2次元基板上で構築した。また構築したプロセスの3次元構造体への適用可能性を検討した。
実験 / Experimental
高分子基板表面における微小電極の形成に向け、金属/高分子積層体のレーザー加工を2次元基板上で行った。生体吸収性高分子材料であるポリ-L-乳酸(PLLA)の平板を基材として用いた。PLLA基板表面を酸素プラズマ(150 W, 33 Pa, 7 min)で処理した後、スパッタリング法(厚さ 290 nm)によりモリブデン(Mo)薄膜を成膜した。得られたMo薄膜にUVレーザーアブレーション(波長355 nm, フルエンス 12.6 J/mm2, 周波数140 kHz)により電極(設計幅 100 μm, 電極間隔 200 μm)を加工した。その後、37℃に保持したリン酸緩衝液(PBS, pH 7.4)中に加工したMo電極を浸漬した。浸漬後のMo電極の残留面積率により、生理的環境下におけるPLLA/Mo界面の安定性を評価した。
結果と考察 / Results and Discussion
PLLA基板表面上に加工したMo電極をPBS中に浸漬したところ、24時間浸漬後に約50%の剥離が生じた。PLLA基板がPBSを吸収し膨潤したことによりPLLA/Mo界面に生じた引張応力、およびPLLAの加水分解による界面の化学結合の切断に起因すると考えられる。そこで安定性の向上に向け、フルエンス1.77 , 5.73 J/cm2のレーザーを用いた界面のレーザーアニールを行った。Fig.1にアニール処理と残留面積率の関係を示す。いずれの条件においても安定性が向上したが、5.73 J/cm2によるアニール処理では5日間(D)の浸漬後も剥離が回避できることが確認された。これは界面加熱により新たにMo-O-C結合が形成されたことで、PLLA/Mo界面の接着強度が向上したためだと考えられる。
図・表・数式 / Figures, Tables and Equations
Mo電極の浸漬試験結果。アニール処理と残留面積率の関係。
その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)
なし
成果発表・成果利用 / Publication and Patents
論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
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Yukihiro Kanda, Experimental and numerical studies of deformation of truncated-cone-shaped poly(L-lactic acid) microneedle during insertion, Applied Physics Express, 15, 106503(2022).
DOI: DOI:10.35848/1882-0786/ac9453
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
- K. Shimada, et al, “Microwiring process for bioabsorbable electronics”, ICPST-39, 2022年6月18日.
- 島田一輝 他, “電解質溶液中で機能する生体吸収性電極の作製と評価”,第83回応用物理学会秋季学術講演会, 2022年9月22日.
- K. Shimada, et al, “Microfabrication process of polymer/metal laminates for bioabsorbable electronics”, MNC2022, 2022年11月9日.
特許 / Patents
特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件