利用報告書 / User's Reports


【公開日:2023.07.31】【最終更新日:2023.05.30】

課題データ / Project Data

課題番号 / Project Issue Number

22UT0260

利用課題名 / Title

医用材料の構造分析

利用した実施機関 / Support Institute

東京大学 / Tokyo Univ.

機関外・機関内の利用 / External or Internal Use

内部利用(ARIM事業参画者以外)/Internal Use (by non ARIM members)

技術領域 / Technology Area

【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)計測・分析/Advanced Characterization(副 / Sub)-

【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)次世代バイオマテリアル/Next-generation biomaterials(副 / Sub)マルチマテリアル化技術・次世代高分子マテリアル/Multi-material technologies / Next-generation high-molecular materials

キーワード / Keywords

製膜,電子顕微鏡/Electron microscopy,イオンミリング/Ion milling,生分解性材料/ Biodegradable material,DDSマテリアル/ DDS material


利用者と利用形態 / User and Support Type

利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)

伊藤  大知

所属名 / Affiliation

東京大学

共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes

三橋健斗

ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes

福川昌宏

利用形態 / Support Type

(主 / Main)機器利用/Equipment Utilization(副 / Sub)-


利用した主な設備 / Equipment Used in This Project

UT-104:低真空走査型電子顕微鏡
UT-153:クロスセクションポリッシャー(CP)


報告書データ / Report

概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)

膵がんの外科的切除後に膵離断面や縫合部位から膵液が腹腔内に漏出する術後合併症を膵液瘻と呼ぶ。漏れ出た膵液中のタンパク質分解酵素により腹腔内組織が傷害されることで、患者が死亡することもあるため、膵液瘻の防止方法の開発が求められている。本研究では、膵液瘻を重症化させる膵液中のタンパク質分解酵素の活性を阻害するタンパク質分解酵素阻害剤を、本研究室で過去に開発された生分解性膜(参考文献1)に担持した膵液瘻防止用ドラッグデリバリーシステムを開発したので、SEMを用いてその表面及び断面の構造観察を行った。

実験 / Experimental

各膜の切り出しはハサミを用いて行い、それを270秒のカーボンスパッタリングにかけ、膜の表面及び断面をコートした。サンプルをエポキシ樹脂台座に固定し、イオンビーム加工を施した。その後、SEM (JSM-6510LA)を用いて表面及び断面の膜構造観察を行った。

結果と考察 / Results and Discussion

開発した膜の表面は封入したタンパク質分解酵素阻害剤の結晶塊でおおわれていたほか、その断面にも50~100 µmほどの薬物の結晶塊が存在しており、薬物の膜への担持がなされていることが確認できた。また、薬物の濃度を先ほどの膜の1/4倍にした膜では結晶塊の成長度合いが低く、10 µm以下の結晶サイズとなった。結晶塊の大きさは膜内部からの薬物徐放挙動に影響を与える可能性が考えられるため、今後は薬物担持量の変化による結晶塊のサイズ制御による適切な薬物徐放挙動の探索により、新たな膵液瘻防止のためのドラッグデリバリーシステムの開発が期待できる。

図・表・数式 / Figures, Tables and Equations
その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)

・参考文献1. K. Mitsuhashi, S. Ohta, T. Ito, "Analysis of model drug permeation through highly crosslinked and biodegradable polyethylene glycol membranes", Journal of Membrane Science, 2022, 645(5), 120218   DOI:10.1016/j.memsci.2021.120218
・JSPS 科研費 DC2 「物質拡散制御に着目した新規膵液瘻防止材料の開発」
・製膜に使用するチオール基修飾ポリエチレングリコールをご提供いただいたBuuno Bock有限合資会社様およびアクリレート基修飾ポリエチレングリコールをご提供いただいた新中村化学株式会社様に感謝いたします。


成果発表・成果利用 / Publication and Patents

論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
特許 / Patents

特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件

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