利用報告書 / User's Report

【公開日:2023.07.31】【最終更新日:2023.05.16】

課題データ / Project Data

課題番号 / Project Issue Number

22UT0240

利用課題名 / Title

炭素質コンドライト隕石の構造分析

利用した実施機関 / Support Institute

東京大学

機関外・機関内の利用 / External or Internal Use

内部利用(ARIM事業参画者以外)/Internal Use (by non ARIM members)

技術領域 / Technology Area

【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)計測・分析/Advanced Characterization(副 / Sub)-

【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)その他/Others(副 / Sub)-

キーワード / Keywords

炭素質コンドライト隕石,イオンミリング/Ion milling


利用者と利用形態 / User and Support Type

利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)

河合 敬宏

所属名 / Affiliation

東京大学

共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes
ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes

福川 昌宏

利用形態 / Support Type

(主 / Main)機器利用/Equipment Utilization(副 / Sub)-


利用した主な設備 / Equipment Used in This Project

UT-153:クロスセクションポリッシャー(CP)


報告書データ / Report

概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)

炭素質コンドライト隕石には有機物が含まれていることが知られており、これら有機物の生成過程について様々な研究がなされている。我々の過去の研究では、脂肪族炭素を多く含む有機物が、3価鉄を多く含む層状ケイ酸塩領域に濃集していることを示した。その後、同様の濃集を探したが、そういった領域は見つかっていない。炭素質コンドライト隕石は数~数10ミクロンスケールの微細な構造を持っている。そのため、隕石中の有機物がどのように分布しているのかを調べるためには、SEMによる観察や、FIBによる超薄片の切り出しを行う必要がある。この構造についてSEMなどで分析する際には、平滑な観察面を必要とする。しかし、炭素質コンドライト隕石は酸化されやすく、研磨の際に水を使うと錆びてしまうために、樹脂に埋めて機械研磨するといった従来の手法を用いることが難しい。これまでに、ラッピングフィルムによる手研磨など、様々な方法で平滑面を作成してきた。しかし、どの手法も試料に有機物のコンタミネーションが生じやすく、有機物分析には不向きである。クロスセクションポリシャーはイオンビームによって試料表面をイオン化してスパッタリングする加工法である。この手法は樹脂埋めなどを必要とせず、ビームで直接研磨できるため、隕石への有機物のコンタミネーションを避ける手段として有効である。そこで、微細構造プラットフォームのクロスセクションポリシャーを用いて、有機物のコンタミネーションを含まない平面加工を試みた。

実験 / Experimental

AguasZarcas隕石(CM2)の数mmの粒子を樹脂片に固定し、クロスセクションポリシャーによる加工で平滑な面を作成した。その後、ピンセットを用いて試料を樹脂からはがし、SEM試料台に固定した。次に、作製した平滑面について、SEMによる元素分析を行った。

結果と考察 / Results and Discussion

樹脂から試料をはがす際に試料が割れてしまったが、平滑部分は残すことができた。SEM観察の結果、クロスセクションポリシャーでの加工では、手研磨に比べ、傷の少ない平面が得られることが確かめられた。(図1,2) 試料の加工面には、TCIと呼ばれる炭素質コンドライト隕石特有の微細構造を多数確認することができた。(図3)ただし、得られた平滑面は水による変成をあまり受けていない組織であった。こういった領域では、変成の進んだ層状ケイ酸塩が少ないため、有機物が濃集していると思われる領域を見つけることはできなかった。一方で、ラッピングフィルムによる研磨との際に見られるような有機物のコンタミネーションは見当たらず、これらを避ける手法として有用であることが確かめられた。ビーム加工は研磨と比べると熱によるダメージが起こりやすいと考えられているため、今後は他の加工方法と比べた熱ダメージの大きさについても議論を進める。

図・表・数式 / Figures, Tables and Equations


図1 クロスセクションポリシャーで加工したAguasZarcas隕石の平滑面(二次電子像)



図2 ラッピングフィルムで研磨したAguasZarcas隕石の平滑面(二次電子像)



図3 AguasZarcas隕石中に見られたTCI(反射電子像)


その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)


成果発表・成果利用 / Publication and Patents

論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
特許 / Patents

特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件

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