【公開日:2023.07.31】【最終更新日:2023.05.15】
課題データ / Project Data
課題番号 / Project Issue Number
22UT0220
利用課題名 / Title
生分解性ブロック共重合体の自己組織化挙動の解明
利用した実施機関 / Support Institute
東京大学 / Tokyo Univ.
機関外・機関内の利用 / External or Internal Use
内部利用(ARIM事業参画者以外)/Internal Use (by non ARIM members)
技術領域 / Technology Area
【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)計測・分析/Advanced Characterization(副 / Sub)-
【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)マルチマテリアル化技術・次世代高分子マテリアル/Multi-material technologies / Next-generation high-molecular materials(副 / Sub)その他/Others
キーワード / Keywords
自己組織化,電子顕微鏡/Electron microscopy,高強度・生分解性プラスチック/ High-strength, biodegradable plastic
利用者と利用形態 / User and Support Type
利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)
福島 和樹
所属名 / Affiliation
東京大学
共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes
Lang Rongjian (郎 栄鑑),加藤 隆史
ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes
利用形態 / Support Type
(主 / Main)機器利用/Equipment Utilization(副 / Sub)-
利用した主な設備 / Equipment Used in This Project
UT-011:有機材料ハイコントラスト透過型電子顕微鏡
UT-101:低損傷走査型分析電子顕微鏡
報告書データ / Report
概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)
本研究課題では、生分解性ポリマーを含むブロック共重合体の自己組織化を利用したナノ構造制御と新機能創出を目標として、主に水中で形成されるこれらのナノ会合体の形態とサイズについて、走査型および透過型電子顕微鏡を用いて調べた。ジブロック型両親媒性ブロック共重合体に疎水性相互作用以外の分子間相互作用を導入し、またブロック共重合体の分子量を変化させることで、サブミリ~サブナノオーダーの自己組織化ナノ構造体の形態・サイズ・サイズ分布を制御できる可能性が示唆された。
実験 / Experimental
生分解性を示す疎水性ポリマーである脂肪族ポリエステル(APE)と生体適合性が期待される親水性ポリマーであるポリエチレングリコール (PEG)からなるブロック共重合体P1について、分子量および分子量比の異なる3種類を合成した。さらに、これらに非共有結合性相互作用部位Aを導入したものをP1-Aとした。これらは透析によって水分散液とした。これらの水中における会合体の形態とサイズを調べるため、透過型電子顕微鏡(TEM)による観察を行った。各ポリマーの水分散液はリンタングステン酸溶液にて染色し、予め日本電子(JEOL)製 HDT-400にて親水化処理したカーボン支持膜付銅グリッド上に滴下した。観察はJEOL JEM-1400を用いて加速電圧120 kV にて行った。 ポリマー会合体の形態は走査型電子顕微鏡(SEM)によっても調べた。各ブロック共重合体の水分散液をシリコン基板上に滴下し、自然乾燥させて観察試料とした。その後、JEOL イオンビームコーター (Model 681)を用いて炭素蒸着を行い、低損傷走査型分析電子顕微鏡 JSM-7500FAを用いて加速電圧0.5 kV にて観察を行った。
結果と考察 / Results and Discussion
TEM観察の結果、P1は数百nmから数µmの球状や繊維状の会合体を示し、分散液の蒸発に伴う会合体の凝集と結晶化を駆動力とする繊維状構造の成長が示唆された。一方で、P1と同条件で試料調製したP1-Aでは比較的均一な数十nmの球状ナノ粒子が観察された。このことから、P1-Aに導入された相互作用部位がより小さな球状会合体の形成とその形態維持に大きく寄与していることが示唆される。また、P1-AのうちPEGとAPEの分子量比が変わると数珠のような構造や繊維状構造の形成が見られた。ただし、その短軸側の大きさは100 nm以下であり、P1で見られるようなより大きな凝集は形成されていない。この点においても相互作用部位Aが大きな凝集体の形成を抑制するように作用していると考えられる。 これらの会合体のバイオ応用を想定し、モデル薬剤を担持させた会合体の形態評価も行った。そのSEM観察の結果、P1-Aは会合体内部への薬剤担持による直径の増加が観察された。しかしながら、球状以外への形態の変化は見られなかった。以上の観察で確認された各会合体の平均サイズは動的光散乱測定から得られた流体力学的直径ともおおよそ一致していた。
図・表・数式 / Figures, Tables and Equations
その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)
本研究課題の一部は、文部科学省新学術領域研究「水圏機能材料」(19H05715, 19H05716)、JST未来社会創造事業(JPMJMI21EH)の支援を受けて実施された。
成果発表・成果利用 / Publication and Patents
論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
特許 / Patents
特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件