利用報告書 / User's Reports


【公開日:2023.07.31】【最終更新日:2023.05.13】

課題データ / Project Data

課題番号 / Project Issue Number

22UT0203

利用課題名 / Title

有機デバイスへの応用を志向した新規有機材料の構造解析

利用した実施機関 / Support Institute

東京大学 / Tokyo Univ.

機関外・機関内の利用 / External or Internal Use

内部利用(ARIM事業参画者以外)/Internal Use (by non ARIM members)

技術領域 / Technology Area

【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)計測・分析/Advanced Characterization(副 / Sub)-

【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)高度なデバイス機能の発現を可能とするマテリアル/Materials allowing high-level device functions to be performed(副 / Sub)革新的なエネルギー変換を可能とするマテリアル/Materials enabling innovative energy conversion

キーワード / Keywords

有機エレクトロニクス,X線回折/X-ray diffraction,ナノエレクトロニクスデバイス/ Nanoelectronics device,太陽電池/ Solar cell


利用者と利用形態 / User and Support Type

利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)

坂巻 拓海

所属名 / Affiliation

東京大学

共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes
ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes
利用形態 / Support Type

(主 / Main)機器利用/Equipment Utilization(副 / Sub)-


利用した主な設備 / Equipment Used in This Project

UT-201:無機微小結晶構造解析装置


報告書データ / Report

概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)

有機太陽電池や有機トランジスタなどで使用される有機半導体材料[1]は,その材料が持つ電荷移動度によって性能が左右される.そのため,正確な分子の三次元立体構造は,その分子の分子間相互作用を考え,電荷移動特性を予測する上で非常に重要である.本研究では,有機デバイスで応用する化合物の新規構造や結晶構造をX線結晶構造解析で決定することにより,材料の理解を深め,有機材料の分野に貢献することを目的としている.

実験 / Experimental

塗布型有機太陽電池で有望な新規スピロ化合物を合成し,得られた材料の構造決定および結晶中の分子構造を明らかにした.東京大学の単結晶X線回折装置(Rigaku社製 VariMax Dual 線源:Cu)を使用した.また,測定はcryo条件で行い,得られた結晶データはOlex2の解析ソフトを用いて処理を行った.貴施設ではデータ処理までを行い,研究室で構造解析を行った.

結果と考察 / Results and Discussion

合成した化合物について,高分解能の回折データを測定でき,構造同定および分子構造解析を行うことができた.結晶構造から,本研究で得られた化合物は中心π共役分子が曲がった構造であることが判明した(Fig. 1).また,結晶中の分子間の重なりを解析したところ,電荷移動に理想的な重なりをしていることが判明し,優れた有機半導体材料であることが示唆された.以上のように,合成した新規化合物のデバイス応用の妥当性を結晶構造解析から示唆することができた.今後は,結晶構造解析を起点として更なる分子設計・合成を行い,様々な機能性分子や有機半導体材料の開発につなげていきたいと考えている.

図・表・数式 / Figures, Tables and Equations


Fig1. X線結晶構造解析から得られた分子構造


その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)

[1] 有機半導体材料: 導体と絶縁体の中間の電気伝導率を有する有機材料.プラスの電荷である正孔とマイナスの電荷である電子と呼ばれるキャリアを流すことができ,それにより電流が生じる.


成果発表・成果利用 / Publication and Patents

論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
  1. 1. 坂巻拓海,中室貴幸,Shang Rui,中村栄一. 「B2N2置換ジベンゾルビセンのモジュラー合成とその物性評価」,第12回CSJ化学フェスタ2022, 2022年10月.
  2. 2. 坂巻拓海,Shang Rui,Juan Casado,中村栄一.“Two Spiro–Conjugated Carbon–Bridged p–Phenylenevinylene: Synthesis and Material Properties”, 11th Singapore International chemistry conference (SICC–11), シンガポール, 2022年12月.
特許 / Patents

特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件

印刷する
PAGE TOP
スマートフォン用ページで見る