利用報告書 / User's Reports


【公開日:2023.07.31】【最終更新日:2023.05.16】

課題データ / Project Data

課題番号 / Project Issue Number

22UT0085

利用課題名 / Title

セルロースナノ結晶複合化によるガロールポリマーの水中接着強度向上

利用した実施機関 / Support Institute

東京大学 / Tokyo Univ.

機関外・機関内の利用 / External or Internal Use

内部利用(ARIM事業参画者以外)/Internal Use (by non ARIM members)

技術領域 / Technology Area

【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)計測・分析/Advanced Characterization(副 / Sub)物質・材料合成プロセス/Molecule & Material Synthesis

【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)マルチマテリアル化技術・次世代高分子マテリアル/Multi-material technologies / Next-generation high-molecular materials(副 / Sub)-

キーワード / Keywords

形状・形態観察, バイオマテリアル, 接着剤, コーティング, 複合材料,電子顕微鏡/Electron microscopy,赤外・可視・紫外分光/Infrared and UV and visible light spectroscopy,異種材料接着・接合技術/ Dissimilar material adhesion/bonding technology,高強度・生分解性プラスチック/ High-strength, biodegradable plastic


利用者と利用形態 / User and Support Type

利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)

山田  江里子

所属名 / Affiliation

東京大学

共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes

佐藤佑磨

ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes

寺西亮佑

利用形態 / Support Type

(主 / Main)機器利用/Equipment Utilization(副 / Sub),技術補助/Technical Assistance


利用した主な設備 / Equipment Used in This Project

UT-011:有機材料ハイコントラスト透過型電子顕微鏡


報告書データ / Report

概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)

 ナノセルロース材料は,高い剛性や強度,表面の化学修飾性,及び生分解性といった特徴から,複合材料調製時のフィラーとして利用が進められている.その中でもセルロースナノ結晶(CNC)は針状の形状であることから,繊維同士の絡み合いが少なく,ポリマーマトリックス中で凝集しにくい.この特性を活かして,近年接着剤に対してCNCをフィラーとして添加することで,接着剤自体の機械的特性を向上させる研究が行われている.本研究では,CNCの表面へMPNコーティング後,デシルアミンよりも分子鎖の長い第一級アミンであるオクタデシルアミン(ODA)を付加し, そのCNC表面の疎水性を評価した.

実験 / Experimental

 ホヤ被嚢を乾燥粉砕し,NaOHでのアルカリ処理,亜塩素酸ナトリウムと酢酸による漂白,TEMPO酸化,塩酸による加水分解を経てTOTCNCを得た1).TEMPO酸化CNF(TOCNF)を塩酸で処理して,植物由来TOCNCを得た.得られた分散液を水で希釈し濃度を0.01 wt%としたものをフォルムバール膜貼り付け400メッシュCuグリッド(JEOL, 783119739)に滴下し,酢酸ウラニルにより染色後, 乾燥させてTEM試料を作製した.また,加速電圧120 kVでTEM観察(利用装置: JEM-1400)を行った.

結果と考察 / Results and Discussion

 TEM観察により, 酸加水分解を通してTOCNFが針状のTOCNCに変化したことが確認された.また,MPNコーティング前後で,TOCNCとMPN-TOCNCの形状に大きな変化がないことも確認された(Fig. 1).
 パルプ由来のTOCNCとホヤ被嚢由来のTOCNCを比較して,ホヤ由来TOCNCの方が,アスペクト比が高いことがわかった.パルプ由来,ホヤ由来共にTOCNC,MPN-TOCNC,ODA-MPN- TOCNCの作成に成功したことが示された.TEM観察の結果,コーティング回数が増加しODAが吸着することによって,CNC 幅が増加したことがわかった.

図・表・数式 / Figures, Tables and Equations


Fig. 1 TOCNCとMPN-TOCNCのTEM像


その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)

 参考文献を以下に示す. 
1) Dunlop, M. J. et al., Scientific Reports 2020 10, 1–13 (2020). 
 また, 寺西亮佑さんが試料の調製法など懇切丁寧に技術指導をしてくださりました.


成果発表・成果利用 / Publication and Patents

論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
  1. 1) ◯Eriko Yamada, Hirotaka Ejima "Reversible Surface Functionalization of Cellulose Nanocrystals Mediated by Metal-Phenolic Networks" 5th G'L'owing Polymer Symposium in KANTO (GPS-K2022), Online (December 3, 2022)
  2. 2) ◯山田江里子、江島広貴「金属-ポリフェノール錯体によるセルロースナノ結晶の可逆的表面修飾」2022年 繊維学会秋季研究発表会、1P02a、とりぎん文化会館、2022年11月9–10日(発表9日)
特許 / Patents

特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件

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