【公開日:2023.07.31】【最終更新日:2023.05.23】
課題データ / Project Data
課題番号 / Project Issue Number
22UT0066
利用課題名 / Title
トポロジカル絶縁体中転位の観察 (熱電変換材料)
利用した実施機関 / Support Institute
東京大学 / Tokyo Univ.
機関外・機関内の利用 / External or Internal Use
内部利用(ARIM事業参画者以外)/Internal Use (by non ARIM members)
技術領域 / Technology Area
【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)計測・分析/Advanced Characterization(副 / Sub)-
【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)革新的なエネルギー変換を可能とするマテリアル/Materials enabling innovative energy conversion(副 / Sub)次世代ナノスケールマテリアル/Next-generation nanoscale materials
キーワード / Keywords
トポロジカル絶縁体, 転位,FIB,マイクロピラー,電子顕微鏡/Electron microscopy,熱電材料/ Thermoelectric material
利用者と利用形態 / User and Support Type
利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)
徳本 有紀
所属名 / Affiliation
東京大学
共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes
ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes
田中和彦
利用形態 / Support Type
(主 / Main)機器利用/Equipment Utilization(副 / Sub)-
利用した主な設備 / Equipment Used in This Project
報告書データ / Report
概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)
トポロジカル絶縁体はバルクは絶縁体でありながら表面にはヘリカルにスピン偏極したディラック電子による金属状態が存在する。このトポロジカル絶縁体の表面金属状態は、磁性を持つ不純物や磁場がない限り、完全後方散乱(スピンが逆転する散乱)が禁止されている頑強なものである。この特殊な金属状態がトポロジカル絶縁体の表面のみならず転位においても生じ得ることが理論的に予測されている。我々の研究グループでは、このような特殊な性質を持つトポロジカル絶縁体中転位の特殊な金属状態の実験的検証に取り組んでいる。これまでに、Bi-Sbトポロジカル絶縁体について塑性変形により高密度な転位を導入し、バルク電気伝導に対する転位伝導の寄与を検出することに成功している[1,2]。しかし、Bi-Sbのバルク電気伝導は絶縁体的振舞いを示すものの、バンドギャップが30 meV程度と小さいため絶縁性が低い。そのため、低温(50 K以下)で高密度な転位(109-10 cm-2)の伝導効果は、バルクの伝導と同程度であった。そこで、本研究では、Bi-Sbよりもバルク絶縁性の高いPb(Bi,Sb)2Te4結晶を対象とし、塑性変形を施し、導入された転位を評価するために、東京大学マテリアル先端リサーチインフラ(ARIM)微細構造解析部門の設備を利用して透過型電子顕微鏡(TEM)観察をした。
実験 / Experimental
バルク絶縁性の高いPb(Bi,Sb)2Te4結晶をブリッジマン法により作製した[3]。得られたインゴットから単結晶片を取り出した。一般的に変形試験にはミリスメートルケールの直方体を用いる。しかし、Pb(Bi,Sb)2Te4の場合、劈開しやすく、ミリメートルスケールの直方体状に成形することが困難である。そこで、本研究では単結晶片から集束イオンビーム加工装置(FIB)でマイクロピラーを加工した。その後ナノインデンターを使い試料を塑性変形させ、SEM観察、TEM観察を行った。
結果と考察 / Results and Discussion
作製したマイクロピラーに対し、ひずみ速度、荷重(応力)を変化させてナノインデンテーションを行った結果、応力600 MPa以上で試料は塑性変形した。ひずみ速度が5.4×10-4 s-1以下で材料は破壊(劈開)せずに変形した。ナノインデンテーションで塑性変形を施したマイクロピラーからFIBでTEM試料を切り出し、TEMで観察した。その結果、すべり帯近傍に、長さ0.5 μm程度の転位が密度108 cm-2で導入されていた。また、SEM観察では単すべりに見えたが実際は2つのすべり系が活性化したことがわかった。
図・表・数式 / Figures, Tables and Equations
その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)
・参考文献:[1] H. Hamasaki et al., Appl. Phys. Lett., 110, (2017) 092105., [2] H. Hamasaki et al., J. Soc. Phys. Jpn., 89, (2020) 023703.[3] Y. Hattori et al., Phys. Rev. Mater., 1, (2017) 074201. ・本研究はJSPS科研費22H01765の助成を受けたものです。
成果発表・成果利用 / Publication and Patents
論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
特許 / Patents
特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件