利用報告書 / User's Reports


【公開日:2023.07.31】【最終更新日:2023.07.14】

課題データ / Project Data

課題番号 / Project Issue Number

22UT0041

利用課題名 / Title

窒化アルミニウム焼結体の欠陥解析

利用した実施機関 / Support Institute

東京大学 / Tokyo Univ.

機関外・機関内の利用 / External or Internal Use

外部利用/External Use

技術領域 / Technology Area

【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)計測・分析/Advanced Characterization(副 / Sub)-

【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)その他/Others(副 / Sub)次世代ナノスケールマテリアル/Next-generation nanoscale materials

キーワード / Keywords

Aluminum nitride, IDB, Volume resistivity,電子顕微鏡/Electron microscopy,電子顕微鏡/Electron microscopy


利用者と利用形態 / User and Support Type

利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)

加藤  大貴

所属名 / Affiliation

日本特殊陶業株式会社

共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes

フウ ビン

ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes
利用形態 / Support Type

(主 / Main)機器利用/Equipment Utilization(副 / Sub)-


利用した主な設備 / Equipment Used in This Project

UT-003:超高分解能透過型電子顕微鏡(Cs-HRTEM)
UT-004:環境対応型超高分解能走査透過型電子顕微鏡


報告書データ / Report

概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)

窒化アルミニウムは高い体積抵抗率、高熱伝導率、高強度およびシリコンに近い熱膨張係数を持つことから高性能な絶縁放熱材料として注目されている。さらなる高体積抵抗率を実現するため、AlN焼結体に対して様々なドーパント添加の検討が行われている。その中でも、MgOの添加は無添加と比較して、広い温度域で4桁程度高い体積抵抗率をもつAlN焼結体が得られることが明らかになっている[1]。しかし、その詳細なメカニズムについては解明されていない。そこで、体積抵抗率向上の要因を明らかにするため、MgO添加AlNについて東京大学の設備である走査型透過電子顕微鏡(STEM)を用いた微細構造解析を行った。

実験 / Experimental

薄膜試料をイオン研磨装置(PIPS)で剥片化し、環境対応型超高分解能走査透過型電子顕微鏡(JEM-ARM200F Cold FE, 200kV)を用いて透過像を用いて、高角度環状暗視野(HAADF)、低角度環状暗視野(LAADF)、環状明視野(ABF)STEM観察を行い、AlN焼結体の微細構造を研究した。シリコンドリフト検出器(SDD)を2台搭載したEDSによって組成分析を行った。

結果と考察 / Results and Discussion

MgO添加AlNの結晶粒内から無添加AlNでは見られない欠陥が確認された。その欠陥が体積抵抗率に影響を与えている可能性が示唆されたため、詳細な微細構造解析を行った結果、その欠陥は2種類のInversion Domain Boundary(IDB: 図1)が交互に出現していることが明らかになった。また、通常の1900 ℃-2時間で焼結した試料よりも低温かつ短時間の1700 ℃-1時間で焼結したMgO添加AlN試料においても、IDBが出現していることが明らかになった。今後の展望として、詳細なIDB生成メカニズムについて明らかにする予定である。

図・表・数式 / Figures, Tables and Equations


図1. AlNにおけるIDBの明視野STEM像


その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)

参考文献 [1]D. Kato et al., Appl. Phys. Express. 15, (2022) 09550.


成果発表・成果利用 / Publication and Patents

論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
  1. Daiki Kato, Enhanced high-temperature volume resistivity of AlN by doping, Applied Physics Express, 15, 095501(2022).
    DOI: 10.35848/1882-0786/ac851f
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
  1. 加藤大貴, “STEMを用いたMgO添加AlN積層欠陥の構造解析”, 日本セラミックス協会 第35回秋季シンポジウム, 2022年9月
  2. D. Kato, “Atomic structural analysis of Inversion Domain Boundary in MgO-doped AlN”, MS&T 22, October 2022.
特許 / Patents

特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件

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