利用報告書 / User's Reports


【公開日:2023.07.31】【最終更新日:2023.05.16】

課題データ / Project Data

課題番号 / Project Issue Number

22UT0022

利用課題名 / Title

セラミックス積層体の三次元構造解析

利用した実施機関 / Support Institute

東京大学 / Tokyo Univ.

機関外・機関内の利用 / External or Internal Use

外部利用/External Use

技術領域 / Technology Area

【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)計測・分析/Advanced Characterization(副 / Sub)-

【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)その他/Others(副 / Sub)-

キーワード / Keywords

セラミックス,電子顕微鏡/Electron microscopy,集束イオンビーム/Focused ion beam


利用者と利用形態 / User and Support Type

利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)

原 祥太郎

所属名 / Affiliation

千葉工業大学

共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes

中沢拓斗,小瀧直輝,江口康生

ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes
利用形態 / Support Type

(主 / Main)機器利用/Equipment Utilization(副 / Sub)-


利用した主な設備 / Equipment Used in This Project

UT-151:集束イオン/電子ビーム 複合ビーム加工観察装置


報告書データ / Report

概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)

固体酸化物形燃料電池(SOFC)は高い発電効率を持ち,次世代エネルギー変換機器として期待される一方,さらなる発電性能と信頼性の向上が重要となっている.近年,高性能空気極材料であるランタンストロンチウムコバルトタイト(LSC)が注目されているものの,熱膨張係数が大きく,電解質との熱膨張係数差により大きな熱応力を生じた場合,クラックや剥離が発生しやすいという課題があった.ただし,空気極は多孔質材料であるため,熱応力の発生メカニズムを解明するためには,微細構造スケールで発生する応力の議論が不可欠となる.そこで本研究では,電解質GDC(ガドリニアドープセリア)基板上にLSC空気極膜を塗布/焼結した2種類の試料を作製した後,FIB-SEMを用いて実構造モデルを再構築し,微細構造を定量的に明らかにすることを目的とする.

実験 / Experimental

本研究ではLSC粉末(Fuelcellmaterials製)とGDC粉末(信越化学工業製)を使用した.GDC粉末をニュートンプレス機で成形し,焼結(1400℃,2h)することでGDC基板を作製した.次に空気極材料(LSC)スラリーを作製後,スクリーンプリント機でGDC基板に塗布して乾燥させた.ここで,得られたLSC/GDCを脱脂・焼結させ,密度60%程度の空気極膜を作製した.その後,樹脂埋め・研磨を行い,空気極/電解質を含む平坦な断面を作製した.FIB-SEM(JEOL製:JIB-4601F)を用いて作製した試料内部構造の反射電子像を取得した.イオンビームにより試料内部を加工しながら,25㎚ごとに空気極/電解質断面の撮影をした.ImageJを用いてFIB-SEMで取得した連続画像の位置合わせ・ゆがみ補正を行った後,空隙・LSC・GDCごとに層の色分けを行い,空気極/電解質モデルを生成した.

結果と考察 / Results and Discussion

FIB-SEMにより取得したLSC空気極膜の連続画像を使用し,三次元再構築化することに成功した(図1,2).LSC空気極膜の構造パラメータを算出したところ,試料1の固相密度は60.2%,試料2は66.0%であった.物質の輸送特性を表す屈曲度ファクターは,試料1で固相が1.81,空隙相が2.21,試料2で固相が1.59,空隙相で2.64となった.固相よりも空隙の量が多いため,空隙相がより屈曲し,値が大きくなったと考えられる.また,密度分布を取得したところ,密度は,界面から離れるほど大きくなる傾向が見られた.これは,焼結時に収縮しないGDC基板の拘束によって,界面付近のLSC相の緻密化が妨げられたためであると考えられる.一般的に,密度や粒径が異なると,多孔体の弾性率や破壊強度は変化する.よって,両層の熱膨張係数差によってLSC層に熱応力が加わった際,界面近傍と界面から離れた箇所では,破壊の特性が異なることが考えられる.

図・表・数式 / Figures, Tables and Equations


図1: LSC(試料1)の三次元再構築像



図2: LSC(試料2)の三次元再構築像


その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)


成果発表・成果利用 / Publication and Patents

論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
  1. 中沢拓斗,瀬川伊響,原祥太郎,鹿園直毅,”SOFC空気極/電解質界面近傍のFIB-SEM三次元再構築化と応力分布解析”,日本機械学会第13回マイクロ・ナノ工学シンポジウム,令和4年11月16日
  2. 小瀧直輝,瀬川伊響,原祥太郎,"微小押し込み試験による多孔質セラミックスの破壊特性評価とFIB-SEMき裂観察",日本材料学会若手研究発表会,令和4年11月12日
特許 / Patents

特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件

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