【公開日:2023.07.31】【最終更新日:2024.06.25】
課題データ / Project Data
課題番号 / Project Issue Number
22IT0013
利用課題名 / Title
量子ホールエッジチャネルにおける熱輸送制御
利用した実施機関 / Support Institute
東京工業大学 / Tokyo Tech.
機関外・機関内の利用 / External or Internal Use
内部利用(ARIM事業参画者以外)/Internal Use (by non ARIM members)
技術領域 / Technology Area
【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)加工・デバイスプロセス/Nanofabrication(副 / Sub)-
【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)量子・電子制御により革新的な機能を発現するマテリアル/Materials using quantum and electronic control to perform innovative functions(副 / Sub)-
キーワード / Keywords
量子ホール効果, 量子ドット, リソグラフィ・露光・描画装置
利用者と利用形態 / User and Support Type
利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)
秦 徳郎
所属名 / Affiliation
東京工業大学
共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes
藤沢利正
ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes
梅本高明
利用形態 / Support Type
(主 / Main)技術代行/Technology Substitution(副 / Sub)-
利用した主な設備 / Equipment Used in This Project
IT-001:電子ビーム露光装置
IT-037:クリーンルーム付帯設備一式
報告書データ / Report
概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)
微小デバイスである量子ドットは近年、高い熱効率を示す熱電素子として注目されている。しかし、熱源と量子ドット間での熱輸送効率には課題が残る。そこで、量子ホールエッジチャネルにおけるカイラルな熱輸送を利用することで解決することを目指した。本課題では、複数本の量子ホールエッジチャネルの熱輸送特性をより詳細に調査した。
実験 / Experimental
AlGaAs/GaAs半導体ヘテロ構造基板上に、プラットフォームの電子ビーム露光によりレジストパターンを形成し、金属薄膜(Ti/Au)を蒸着することにより、Fig.1の走査電子顕微鏡写真のようなゲート電極を作製した。緑色に着色したゲートを使って量子ポイントコンタクトを形成して電圧を印可して熱流を入れた。水色に着色したゲートを使って形成した量子ドットで電流スペクトルを測定し、そこまで流れてきた熱流を測定した。測定は、東京工業大学藤澤研究室の希釈冷凍機により極低温強磁場中で行った。
結果と考察 / Results and Discussion
量子ホールエッジチャネルが4本のときの、チャネル間の熱分配係数を調べた結果を示す。Fig.2上段がQPC のコンダクタンスG、下段が量子ドットで測定した熱流Jであり、それぞれVQPC依存性を示している。オレンジ色の着色で強調されている4つの領域で、QPCから熱流が注入されている。熱流J は各領域で増大しており(Fig.2下段)、その最大値は各領域によって異なる。この熱流のゲート依存性を解析することで、最内のチャネル(ゲート側のチャネル)から他三つのチャネルに対する熱分配係数を定量的に見積もり、その結果、隣接するチャネル間における結合が支配的であることが分かった。本研究成果は、量子ホールエッジチャネルを持つ集積熱回路の実現に向けて知見を与えるものである。
図・表・数式 / Figures, Tables and Equations
Fig. 1 SEM image of our sample.
Fig. 2 (a) Conductance of QPC as
a function of the gate voltage, VQPC.
(b) Heat current as a function of VQPC.
その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)
本研究は、科研費(JP19H05603)の支援を受けた。
共同研究者:秋保貴史氏・村木康二氏(NTT物性基礎研)、技術支援者:梅本高明氏(東工大)に感謝致します。
成果発表・成果利用 / Publication and Patents
論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
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Ryota Konuma, Nonuniform heat redistribution among multiple channels in the integer quantum Hall regime, Physical Review B, 105, (2022).
DOI: 10.1103/physrevb.105.235302
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
特許 / Patents
特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件