利用報告書 / User's Reports


【公開日:2023.07.31】【最終更新日:2024.06.04】

課題データ / Project Data

課題番号 / Project Issue Number

22IT0018

利用課題名 / Title

SiC上エピタキシャルグラフェンの超電導機構解明

利用した実施機関 / Support Institute

東京工業大学 / Tokyo Tech.

機関外・機関内の利用 / External or Internal Use

内部利用(ARIM事業参画者以外)/Internal Use (by non ARIM members)

技術領域 / Technology Area

【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)加工・デバイスプロセス/Nanofabrication(副 / Sub)-

【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)量子・電子制御により革新的な機能を発現するマテリアル/Materials using quantum and electronic control to perform innovative functions(副 / Sub)-

キーワード / Keywords

表面処理, 切削


利用者と利用形態 / User and Support Type

利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)

一ノ倉 聖

所属名 / Affiliation

東京工業大学理学院物理学系

共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes

德田啓

ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes
利用形態 / Support Type

(主 / Main)機器利用/Equipment Utilization(副 / Sub)-


利用した主な設備 / Equipment Used in This Project

IT-027:ダイシングソー及びダイシング補助装置
IT-037:クリーンルーム付帯設備一式


報告書データ / Report

概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)

カルシウム及びリチウムインターカレートグラフェンを形成するためのSiC基板の前処理として、東京工業大学の設備を利用してウェハー切断と酸化膜除去を行った。

実験 / Experimental

ダイシングソーを用いてSiCウェハーを2×10 mm2の大きさに切断し、7%のバッファードフッ酸に5分間浸すことで自然酸化膜を除去した。その後、自実験室へ試料を持ち帰り、Ar雰囲気中で1800℃に15秒間加熱することで、表面にグラフェンをエピタキシャル成長させた。カルシウム・リチウムはその後真空中で蒸着することにより、それぞれインターカレートさせた。

結果と考察 / Results and Discussion

 カルシウム・インターカレートグラフェンの電気抵抗の温度依存性を調べると、約3 Kで超伝導転移が見られた。また、角度分解光電子分光によりこの試料のエネルギーバンド構造を調べ、カルシウムの電子軌道の効果による強い電子格子相互作用によって超伝導を発現させていることがわかった。  リチウムの場合は測定温度範囲内で超伝導とはならなかったものの、エネルギーバンド測定において強い電子間直接相互作用の兆候が見られ、より低温での非従来型超伝導が期待される結果を得た。

図・表・数式 / Figures, Tables and Equations
その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)

・東工大西山研の雨宮智宏様、大礒義孝様に感謝いたします。


成果発表・成果利用 / Publication and Patents

論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
  1. S. Ichinokura, Van Hove singularity and Lifshitz transition in thickness-controlled Li-intercalated graphene, Physical Review B, 105, (2022).
    DOI: 10.1103/PhysRevB.105.235307
  2. Satoru ICHINOKURA, Thickness-dependent Lifshitz Transition in Li-intercalated Graphene, Vacuum and Surface Science, 65, 502-507(2022).
    DOI: 10.1380/vss.65.502
  3. Satoru Ichinokura, Van Hove Singularity and Enhanced Superconductivity in Ca-Intercalated Bilayer Graphene Induced by Confinement Epitaxy, ACS Nano, 18, 13738-13744(2024).
    DOI: 10.1021/acsnano.4c01757
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
  1. 1. 一ノ倉聖、豊田雅之、德田啓、田中清尚、斎藤晋、平原徹 "カルシウム侵入 2 層グラフェンにおける p 軌道と d 軌道の混成"  UVSORシンポジウム 2022年11/26 (分子科学研究所、オンライン)
  2. 2. 德田啓、一ノ倉聖、豊田雅之、田中清尚、斎藤晋、平原徹 "Ca インターカレート 2 層グラフェンに 過剰な Ca が誘起する自由電子バンド"  UVSORシンポジウム 2022年11/26 (分子科学研究所、オンライン)
  3. 3. 德田啓, 一ノ倉聖, 豊田雅之, 田中清尚, 斎藤晋, 平原徹 "Caインターカレート2層グラフェンに過剰なCaが誘起する自由電子バンド" 2022年日本物理学会秋季大会 2022年9月(東工大)
  4. 4. S. Ichinokura, M. Toyoda, M. Hashizume, K. Horii, S. Kusaka, S. Ideta, K. Tanaka, R. Shimizu, T. Hitosugi, S. Saito, T. Hirahara "Van Hove Singularity in Thickness Controlled Li-Intercalated Graphene" IVC-22 2022年9月(Sapporo)
  5. 5. 徳田啓、一ノ倉聖、田中清尚、平原徹 "Caインターカレート2層グラフェンに過剰な Ca が誘起する自由電子バンド" 日本表面真空学会 2022年関東支部講演会 2022年4月(オンライン)
特許 / Patents

特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件

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