利用報告書 / User's Reports


【公開日:2023.07.28】【最終更新日:2023.04.17】

課題データ / Project Data

課題番号 / Project Issue Number

22TU0133

利用課題名 / Title

歪FeCo粒子分散ポリウレタンの内部構造評価 / Microstructure characterization of magnetostrictive FeCo alloy particle dispersed poly-urethane matrix composite

利用した実施機関 / Support Institute

東北大学 / Tohoku Univ.

機関外・機関内の利用 / External or Internal Use

内部利用(ARIM事業参画者以外)/Internal Use (by non ARIM members)

技術領域 / Technology Area

【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)加工・デバイスプロセス/Nanofabrication(副 / Sub)-

【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)革新的なエネルギー変換を可能とするマテリアル/Materials enabling innovative energy conversion(副 / Sub)-

キーワード / Keywords

IoTセンサ,磁歪材料


利用者と利用形態 / User and Support Type

利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)

栗田 大樹

所属名 / Affiliation

東北大学 大学院環境科学研究科

共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes
ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes

戸津健太郎

利用形態 / Support Type

(主 / Main)機器利用/Equipment Utilization(副 / Sub)-


利用した主な設備 / Equipment Used in This Project

TU-313:マイクロX線CT


報告書データ / Report

概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)

IoT機器の実現には,柔軟な磁歪材料が不可欠である.本研究では,ポリウレタン(PU)マトリクスに磁歪Fe49Co49V2合金粒子を分散させた(PU-FeCoV)シートを作製した.このフレキシブル磁歪複合シートの片面は負の磁歪を示した.また,PU-FeCoVシートの磁束密度は、繰り返し負荷をかけることで変化することがわかった.したがって,PU-FeCoVシートは、センシングや振動発電デバイスへの応用が期待される.

実験 / Experimental

PU-FeCoVシートの逆磁歪特性を,25Nロードセル(SMT1-25N, Interface Force Measurement Solutions, USA)と万能試験機(MST-I type HS/ HR, Shimadzu Corporation, Japan)による繰返し曲げ応力で評価した.曲げ応力は変位量の制御により制御した.磁束密度は,PU-FeCoVシートを固定した金型の上下面に配置された2つのホールセンサによって測定した.そして,三次元X線CT装置(ScanXmate-D160TS110,コムサンテクノ株式会社、日本)を用いて,PU-FeCoVシートの微細構造を観察した.使用した加速電圧,加速電流,倍率はそれぞれ,161 kV,36 mA、9.153倍とした.蓄積回数と蓄積速度は1回,1.0 f/secとした.

結果と考察 / Results and Discussion

Fe49Co49V2合金粒子を40 vol.%添加したPU-FeCoVシートは磁場中において曲げ現象を示した.そこで,三次元X線CT装置によって材料の内部を観察し,その要因を調査した.その観察結果を図1に示す.PU-FeCoVシートの上部領域には、下部領域と比較して大きな孔が観察された.この孔は、製造工程で発生した気泡に起因するものと考えられる.したがって,磁場中におけるPU-FeCoVシートの変形の背後にある曲げ機構を次のように推測する.PU-FeCoVシートの下部領域には,比重が重いFe49Co49V2合金粒子が上部領域と比較してより多く存在する.したがって、PU-FeCoVシートの下部領域は、磁歪と、電磁石に対するFe49Co49V2合金の引力の両方により膨張する.一方で,Fe49Co49V2合金粒子が少なく,かつ気孔が多いため圧縮弾性率が低い上部は、下部の膨張も相まって収縮する.本研究では,PU-FeCoVシートの真の磁歪を測定するために,作製プロセスを変更することで全ての気孔を除去することを試みた.しかし,完全に孔を除去することはできなかった.PU-FeCoVシートの透磁率は,気孔の有無にかかわらずFe49Co49V2合金粒子の体積分率が増加によって向上した.

図・表・数式 / Figures, Tables and Equations


図1 PU-FeCoVシートの三次元X線CT観察結果


その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)

三次元X線CT装置による分析にあたり,戸津健太郎教授に深く感謝申し上げます.


成果発表・成果利用 / Publication and Patents

論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
  1. Hiroki Kurita, Direct and inverse magnetostrictive properties of Fe–Co–V alloy particle-dispersed polyurethane matrix soft composite sheets, Sensors and Actuators A: Physical, 337, 113427(2022).
    DOI: https://doi.org/10.1016/j.sna.2022.113427
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
  1. デフォルト口頭発表
特許 / Patents

特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件

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