利用報告書 / User's Reports


【公開日:2023.07.28】【最終更新日:2023.04.17】

課題データ / Project Data

課題番号 / Project Issue Number

22TU0071

利用課題名 / Title

レクテナを用いた赤外光エネルギー利用 / Infrared Energy Utilization by Rectenna

利用した実施機関 / Support Institute

東北大学 / Tohoku Univ.

機関外・機関内の利用 / External or Internal Use

内部利用(ARIM事業参画者以外)/Internal Use (by non ARIM members)

技術領域 / Technology Area

【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)加工・デバイスプロセス/Nanofabrication(副 / Sub)計測・分析/Advanced Characterization

【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)革新的なエネルギー変換を可能とするマテリアル/Materials enabling innovative energy conversion(副 / Sub)-

キーワード / Keywords

エネルギーハーベスティング/Energy harvesting, レクテナ/Rectenna,リソグラフィ/Lithography,膜加工・エッチング/Film processing and Etching,スパッタリング/Sputtering,EB


利用者と利用形態 / User and Support Type

利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)

清水 信

所属名 / Affiliation

東北大学大学院工学研究科

共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes

Zhen Liu, Todd Neve, 曹家銘, 中村怜央, 山本拓真, 岡祐司

ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes
利用形態 / Support Type

(主 / Main)機器利用/Equipment Utilization(副 / Sub),技術相談/Technical Consultation


利用した主な設備 / Equipment Used in This Project

TU-158:芝浦スパッタ装置(加熱型)
TU-064:エリオニクス 130kV EB描画装置
TU-051:ミカサ スピンコータ
TU-206:アルバックICP-RIE#2


報告書データ / Report

概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)

レクテナを用いた赤外光エネルギー利用のため、高効率化のための狭帯域熱放射が可能なデバイスの作成を行った。具体的には二次元超格子マイクロキャビティアレイにおいて生じる定在波と表面波の結合モードを用いた狭帯域熱輻射を実現する。単一格子アレイと比較してより狭帯域な熱輻射ピークが実現でき、解析通りの結果を得ることができた。

実験 / Experimental

研磨されたTa基板に対する2次元超格子マイクロキャビティアレイの作製プロセスは、まず洗浄した基板上に、高周波マグネトロンスパッタリングにより、クロム(Cr)30 nm層と二酸化ケイ素(SiO2)180nm層を順次堆積し、Taエッチングのハードマスクとして使用した。2次元超格子マイクロキャビティアレイは、400nm厚のソフトレジスト(ZEP-520A)上に電子ビーム(EB)リソグラフィーで定義した。レジスト現像後、ULVAC CE-300Iを用い、トリフルオロメタン(CHF3)と塩素(Cl2)/酸素(O2)による誘導結合プラズマ反応性イオンエッチング(ICP-RIE)でそれぞれSiO2およびCrマスク層へパターンを転写した。最後に六フッ化硫黄(SF6)を用いたドライエッチングによりTa基板をエッチングし、空洞を形成した。残留Cr層は、Cr液体エッチング液(MicroChemicals社製)に浸漬して完全に除去した。

結果と考察 / Results and Discussion

本研究では3種類のサンプルを作製した。反射率は、インジウムアンチモン(InSb)フォトダイオード検出器を備えたFT-IR(Spectrum-6100、JASCO)を用いて室温で測定した。サンプルは不透明であるため,反射率の測定値から放射率を導出した.放射率の測定値とシミュレーション値を図に、それぞれの走査型電子顕微鏡(SEM)画像を挿入図に示す。シミュレーションの結果、回折反射の乱れは、1.78umより短い波長の測定スペクトルにのみ影響することがわかった。したがって、ハイブリッド共振のピークでは回折効果は発生していない。つまり、この範囲では測定された正反射率からエミッタンスを評価することが可能である。ハイブリッド共鳴ピークの実測スペクトルは、シミュレーションのスペクトルと良い一致を示した。電場集中効果により帯域幅が狭くなったことが示唆されている。測定されたピークのバンド幅がわずかに広いのは、RIEプロセスにおけるキャビティ側壁の表面粗さによって説明することができる。Qファクターは、ハイブリッド共振ピークをVoigt関数を用いてフィッティングすることで求めた。解析で述べたように、Qファクターは空洞サイズに依存し、これは電場集中効果の大きさに起因している。2次元超格子マイクロ共振器アレイでは、Qファクター12.4の狭帯域発光が得られ、単格子アレイではQファクター4.1であった。また、隣接するマイクロキャビティ間のギャップを小さくすることでQファクターが向上することが、実験結果のスペクトルから確認されました。これらの結果から、2次元超格子マイクロキャビティアレイにおいて、ハイブリッド共振モードを持つ補助共振器のサイズによって、熱輻射帯域幅を制御できることが示されレクテナを用いた赤外光変換の高効率化が可能な技術を開発できたと考えている。

図・表・数式 / Figures, Tables and Equations


Fig.1 Measured and simulated emittances for 2D superlattice microcavity array. The structural parameters are Λ=1.1 𝜇𝑚, 𝑎1=0.9 𝜇𝑚, and 𝑑=0.7 𝜇𝑚 with 𝑎2=0, 0.4, and 0.7 𝜇𝑚, respectively. Insets show the SEM images of fabricated samples. (d) Q-factor of the hybrid resonance mode peak as a function of the supplementary cavity size.


その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)

デフォルトその他特記事項


成果発表・成果利用 / Publication and Patents

論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
特許 / Patents

特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件

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