【公開日:2023.07.28】【最終更新日:2023.04.27】
課題データ / Project Data
課題番号 / Project Issue Number
22TU0030
利用課題名 / Title
シリコン光カプラの開発 / Development of silicon optical coupler
利用した実施機関 / Support Institute
東北大学 / Tohoku Univ.
機関外・機関内の利用 / External or Internal Use
外部利用/External Use
技術領域 / Technology Area
【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)加工・デバイスプロセス/Nanofabrication(副 / Sub)-
【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)高度なデバイス機能の発現を可能とするマテリアル/Materials allowing high-level device functions to be performed(副 / Sub)量子・電子制御により革新的な機能を発現するマテリアル/Materials using quantum and electronic control to perform innovative functions
キーワード / Keywords
シリコンフォトニクス,光集積回路,イオン注入,リソグラフィ/Lithography,膜加工・エッチング/Film processing and Etching,CVD,光導波路/ Optical waveguide,フォトニクス/ Photonics
利用者と利用形態 / User and Support Type
利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)
吉田 知也
所属名 / Affiliation
国立研究開発法人産業技術総合研究所
共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes
ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes
利用形態 / Support Type
(主 / Main)機器利用/Equipment Utilization(副 / Sub),技術補助/Technical Assistance
利用した主な設備 / Equipment Used in This Project
TU-314:熱電子SEM
TU-105:中電流イオン注入装置
報告書データ / Report
概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)
近年、情報通信分野では大量のデータを処理するハイパースケールデータセンターなどにおけるデータ通信ネットワーク構築において、半導体微細加工プロセスを応用して製造される微細で高集積なシリコン光集積回路への期待が高まっている。本研究では、このシリコン光集積回路において従来は難しかったチップ表面から高効率に光入出力を実現するための光カプラの画期的技術“エレファントカプラ[1]”の開発を行っている。エレファントカプラとはシリコン光導波路の先端を立体的に湾曲したユニークな構造を持つ光カプラである。その曲げ加工はイオン注入応力で実現しているのだが、曲げ加工のためのイオン注入レシピの開発を近年、試作コインランドリの中電流イオン注入装置にて実施している。
実験 / Experimental
エレファントカプラはシリコン光集積回路を作製した後に付加的な加工によって表面型の光カプラを形成する技術である。Fig. 1にその概要を示す。(a)シリコン光集積回路を作成後、(b)シリコン光導波路の先端を片持ち梁構造に加工する。片持ち梁構造の部分がイオン注入によって湾曲加工される部分で、その上に形成するタングステン(W)薄膜で形成された遮蔽膜はイオンビームを遮蔽して高精度な曲げ加工をアシストする役割を担う。(c)イオン注入によってシリコン片持ち梁を湾曲加工する。イオン注入のエネルギーによって応力生成深さを、ドーズによって応力生成量を制御する。また、注入角度やウェハ回転角を調整することで、鍛冶屋のように曲げ形状を繊細に調整することが可能である。(d)その後、CVDによってガラスレンズ構造を形成するとエレファントカプラの完成となる。今年度は、いくつかの光デバイス向けのエレファントカプラの曲げ加工レシピの開発を、中電流イオン注入装置を利用して実施した。
結果と考察 / Results and Discussion
Fig. 2にイオン注入後のシリコン光導波路のSEM像の例を示す。左上に向けて反ったシリコン光導波路は、その後のCVDプロセスで生じる応力を受けて所望の形状となる。この様な形状を実現するには、ドーズや角度を変えながら6〜7ステップのイオン注入レシピを必要とする。レシピ開発においては、試作コインランドリの機動力の高い中電流イオン注入装置を用いることで効率的に実施することが出来ており、開発レシピは順次、量産試作に用いている日新イオン機器社の300 mm装置に移管して研究を推進している。
図・表・数式 / Figures, Tables and Equations
Fig. 1 エレファントカプラ作製プロセス概要
Fig. 2 イオン注入により立体湾曲加工されたシリコン光導波路のSEM像
その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)
・参考文献 [1] T. Yoshida et al., IEEE Photon. Technol. Lett., 32, pp.1319-1322, 2020.
・JSPS-科研費 「光波長・空間多重伝送向け表面ファイバ実装型光カプラの革新的製造技術に関する研究」
・その他ARIM利用機関:NIMS(JPMXP1222NM0003)、
成果発表・成果利用 / Publication and Patents
論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
- T. Yoshida et al., “Core-to-Core Switching Module for 4-Core MCFs Using Silicon Photonics Matrix Switch Incorporating Silicon Vertically Curved Optical Coupler”,OFC, M4J.2, 2023.
特許 / Patents
特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件