【公開日:2023.07.28】【最終更新日:2023.05.24】
課題データ / Project Data
課題番号 / Project Issue Number
22TU0167
利用課題名 / Title
ケイ酸塩物質からのカルシウム溶出メカニズム
利用した実施機関 / Support Institute
東北大学 / Tohoku Univ.
機関外・機関内の利用 / External or Internal Use
内部利用(ARIM事業参画者以外)/Internal Use (by non ARIM members)
技術領域 / Technology Area
【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)計測・分析/Advanced Characterization(副 / Sub)-
【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)量子・電子制御により革新的な機能を発現するマテリアル/Materials using quantum and electronic control to perform innovative functions(副 / Sub)高度なデバイス機能の発現を可能とするマテリアル/Materials allowing high-level device functions to be performed
キーワード / Keywords
ケイ酸ガラス群, スラグ,電子顕微鏡/Electron microscopy,集束イオンビーム/Focused ion beam
利用者と利用形態 / User and Support Type
利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)
川西 咲子
所属名 / Affiliation
東北大学 多元物質科学研究所
共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes
ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes
利用形態 / Support Type
(主 / Main)技術代行/Technology Substitution(副 / Sub)-
利用した主な設備 / Equipment Used in This Project
TU-504:超高分解能透過電子顕微鏡
TU-508:集束イオンビーム加工装置
報告書データ / Report
概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)
鉄鋼製造プロセスでの副産物であるスラグは、多種のケイ酸塩物質により構成される。屋外で使用されるスラグのリサイクル材には、水環境下での安定性が求められるが、スラグを構成するケイ酸塩物質からのカルシウム成分の溶出によりpHが上昇することがしばしば問題となる。そこで、水と長時間保持したケイ酸塩物質の表面の微細構造およびを元素分布をTEMで観察し、ケイ酸塩物質からのカルシウム溶出メカニズムの解明に向けた研究を進めている。本研究では、スラグの構成成分であるマグネシウムの有する溶出抑制の効果を明らかにすることを目的とした。
実験 / Experimental
蛍光イメージング法によりCaSiO3およびCaMgSi2O6の水中への溶出試験を実施した後のケイ酸塩鉱物を観察試料とし、FIB QUANTAを用いて断面観察用試料を作製した。次に、JEM-ARM200Fを用いてHRTEMおよびSTEM-HAADF観察を行い、変質層の観察および深さ方向へのEDS連続点分析を行った。いずれの観察も加速電圧200kVにて実施した。
結果と考察 / Results and Discussion
蛍光イメージング法によるpHおよびCaイオンの溶出挙動の解析により、合成したいずれのケイ酸塩鉱物においてもCaが優先的に溶出することが確認された。溶出に伴い、鉱物の最表面にはSiO2を主成分とするアモルファス状の水和変質層が形成されたことがTEM観察により明らかになった。さらに、STEM-EDSによる元素分析により、Caの欠乏層の存在も確かめられた。イメージングにより得られた溶出挙動の解析により、本溶出はCa欠乏層におけるCaイオンとプロトンの相互拡散に律速される現象であることが示唆された。
図・表・数式 / Figures, Tables and Equations
その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)
本研究の遂行にあたり試料の加工や観察においてご協力いただきました東北大学金属材料研究所、長迫実博士、伊藤俊氏、竹中佳生氏に謝意を表します。
成果発表・成果利用 / Publication and Patents
論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
- 藤田真由, 川西咲子, 川野潤, 助永壮平, 柴田浩幸: “蛍光イメージング法によるCaSiO3及びCaMgSi2O6の溶出機構の検討”, 日本鉄鋼協会, 第184回秋季講演大会, 福岡工業大学, 2022年9月22日.(ポスター発表 努力賞受賞)
特許 / Patents
特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件