利用報告書 / User's Reports


【公開日:2023.07.28】【最終更新日:2023.05.24】

課題データ / Project Data

課題番号 / Project Issue Number

22TU0118

利用課題名 / Title

メンブレン積層構造の構造解析

利用した実施機関 / Support Institute

東北大学 / Tohoku Univ.

機関外・機関内の利用 / External or Internal Use

外部利用/External Use

技術領域 / Technology Area

【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)計測・分析/Advanced Characterization(副 / Sub)-

【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)高度なデバイス機能の発現を可能とするマテリアル/Materials allowing high-level device functions to be performed(副 / Sub)量子・電子制御により革新的な機能を発現するマテリアル/Materials using quantum and electronic control to perform innovative functions

キーワード / Keywords

ナノシート、薄膜,電子顕微鏡/Electron microscopy,集束イオンビーム/Focused ion beam,原子薄膜/ Atomic thin film,超伝導/ Superconductivity


利用者と利用形態 / User and Support Type

利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)

塩貝 純一

所属名 / Affiliation

大阪大学 理学研究科

共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes
ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes
利用形態 / Support Type

(主 / Main)技術代行/Technology Substitution(副 / Sub)-


利用した主な設備 / Equipment Used in This Project

TU-504:超高分解能透過電子顕微鏡
TU-507:集束イオンビーム加工装置
TU-508:集束イオンビーム加工装置


報告書データ / Report

概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)

層状の超伝導体であるFeSeは、最も単純な結晶構造をもった鉄系超伝導体である。単結晶バルクで約8 Kの超伝導転移温度(Tc)を示し[1]、Tc以下で高い臨界磁場と臨界電流密度を示すため、強磁場応用が期待されている。さらに、SrTiO3基板上に堆積された単原子層膜厚のFeSeが40 K級の高温超伝導を示すことが発見されて以来[2]、薄膜研究においても精力的に研究されている。本課題では、真空薄膜技術及び水溶性犠牲層を活用したエピタキシャルリフトオフ法を用いて、FeSe/SrTiO3のフリースタンディングメンブレンの作製技術を確立することを目的とする。

実験 / Experimental

パルスレーザー堆積法(PLD)を用いて、SrTiO3(001)基板上に水溶性犠牲層としてSr3Al2O3薄膜を堆積し、その上にSrTiO3及びFeSe薄膜を堆積した。次に、SrTiO3基板上に堆積されたFeSe/SrTiO3/Sr3Al2O6薄膜を純水中に浸漬することで、Sr3Al2O6層をエッチングし、FeSe/SrTiO3二層構造を基板から剥離させた。x線回折(XRD)及び走査型透過電子顕微鏡(STEM)を用いてFeSe/SrTiO3/Sr3Al2O6薄膜と、基板から剥離したFeSe/SrTiO3メンブレンの構造評価を行った。

結果と考察 / Results and Discussion

SrTiO3基板に堆積されたFeSe/SrTiO3/Sr3Al2O6の薄膜積層構造のXRDの結果から、FeSe層はエピタキシャルに成長したc軸配向膜であり、基板から面内引っ張り歪を受けてc軸長がバルク値と比べて0.92%縮んでいることがわかった。一方、剥離後のFeSe/SrTiO3二層メンブレンのXRDで求めたFeSeのc軸長はバルク値と一致しており、エピタキシャル歪が緩和していることがわかった。さらに、断面STEM像を用いて薄膜とメンブレンのFeSe/SrTiO3界面近傍を丁寧に観察すると、どちらの試料も急峻な界面が形成されていることがわかり、エッチングプロセスで界面が劣化せずに剥離できていることが明らかになった。

図・表・数式 / Figures, Tables and Equations
その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)

参考文献:[1] F. C. Hsu et al., Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 105, 14262 (2008). [2] Q. Y. Wang et al., Chinese Phys. Lett. 29, 037402 (2012). 謝辞:本研究で用いられた電子顕微鏡像は、東北大学伊藤俊氏、竹中佳生氏に協力いただいて得られたものである。


成果発表・成果利用 / Publication and Patents

論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
  1. Junichi Shiogai, Superconducting FeSe membrane synthesized by etching of water-soluble Sr3Al2O6 layer, Applied Physics Letters, 122, (2023).
    DOI: doi.org/10.1063/5.0135702
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
特許 / Patents

特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件

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