【公開日:2023.08.01】【最終更新日:2023.05.08】
課題データ / Project Data
課題番号 / Project Issue Number
22NI0815
利用課題名 / Title
窒素捕捉活性化を目指したN4型Mo錯体の構築
利用した実施機関 / Support Institute
名古屋工業大学 / Nagoya Tech.
機関外・機関内の利用 / External or Internal Use
内部利用(ARIM事業参画者)/Internal Use (by ARIM members)
技術領域 / Technology Area
【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)計測・分析/Advanced Characterization(副 / Sub)物質・材料合成プロセス/Molecule & Material Synthesis
【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)高度なデバイス機能の発現を可能とするマテリアル/Materials allowing high-level device functions to be performed(副 / Sub)マテリアルの高度循環のための技術/Advanced materials recycling technologies
キーワード / Keywords
アンモニア還元触媒, 単結晶X線回折,X線回折/X-ray diffraction,高品質プロセス材料/ High quality process materials,未利用資源の有効利用技術/ Technologies for effective utilization of unused resources
利用者と利用形態 / User and Support Type
利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)
薮谷 翔輝
所属名 / Affiliation
名古屋工業大学
共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes
増田秀樹,猪股智彦
ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes
小澤智宏
利用形態 / Support Type
(主 / Main)機器利用/Equipment Utilization(副 / Sub)-
利用した主な設備 / Equipment Used in This Project
報告書データ / Report
概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)
窒素は空気の主成分であり資源としてはほぼ無限に存在する。一方窒素は不活性ガスであり、その利用については化学的に結合を切断しアンモニアなど有用材料への変換を通じて初めて利用可能となる。現在はハーバーボッシュ法を用いて化石燃料を使用し、環境に大きな負荷をかけて合成されているが、自然界では酵素ニトロゲナーゼが常温常圧でこれを行っている。本研究では、常温常圧で窒素をアンモニアへ還元できる触媒の開発を目指し、新規Mo型錯体を合成してその評価を行うこととした。本装置は、窒素と反応させる前の出発Mo錯体の構造を知るために利用した。
実験 / Experimental
配位子TPPAは既存の方法により合成した。TAAPとMoCl3を脱水@@中嫌気下において撹拌した。この溶液を減圧下で溶媒を除去し、得られた固体を@@に溶解した。これに対してジエチルエーテルを貧溶媒として気液拡散したところ、黄色の単結晶が得られたので、これを構造解析装置VariMaxを用いて構造解析を行った。測定はクライオスタットを用いて−100ºCで実施し、測定データはRapid Autoを用いて収集した。これらのデータはソフトウエアCrystal Structureを用いて解析した。
結果と考察 / Results and Discussion
TPPAとMoCl3から得られた黄色の単結晶について単結晶X線構造解析装置(VariMax)を用いて測定し、そのデータを解析した。計算値と実測値の差を示すR値は8.72%であり、比較的良い精度で解析ができたと思われる。Mo錯体は、TPPA配位子から2つのピリジン窒素とアミン窒素、並びに3つの塩化物イオンが配位した6配位八面体構造を有していた(図1参照)。Mo-N(アミン)の結合距離は2.194Å、Mo-N(ピリジン)とMo-Clの平均結合距離は、それぞれ2.42Åと2,23Åであり、Mo(III)の錯体で見られる平均的な結合距離であった。配位可能なピリジン窒素が3組あったにも関わらず1つのピリジン窒素が廃位していないかったのは、電気的な中性を確保するためにClの配位が維持されていたためであると考えられる。 この錯体を用いて、還元条件下で窒素の補足並びにシリル化を経由したアンモニアへの変換反応を試みたところ、錯体に対して3等量以上のアンモニアが得られたことから、本錯体が触媒的に反応していることが示唆された。しかしながらピリジンに導入しているピバルアミド基のアミド窒素がアンモニアに変換している可能性もあるため、再検討していく必要がある。
図・表・数式 / Figures, Tables and Equations
図1 Mo錯体の結晶構造
その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)
特になし
成果発表・成果利用 / Publication and Patents
論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
- 薮谷 翔輝、小澤 智宏、猪股 智彦、増田 秀樹 ”三脚型配位子を用いた新規モリブデン錯体による窒素分子の活性化及び触媒的アンモニア合成” 日本化学会第103春季年会
特許 / Patents
特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件