【公開日:2023.08.01】【最終更新日:2023.05.08】
課題データ / Project Data
課題番号 / Project Issue Number
22NI0804
利用課題名 / Title
アルコキシフェニル基を有するビス(ジオキサボリン)誘導体の集合構造に基づく固体物性
利用した実施機関 / Support Institute
名古屋工業大学 / Nagoya Tech.
機関外・機関内の利用 / External or Internal Use
内部利用(ARIM事業参画者以外)/Internal Use (by non ARIM members)
技術領域 / Technology Area
【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)計測・分析/Advanced Characterization(副 / Sub)物質・材料合成プロセス/Molecule & Material Synthesis
【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)マテリアルの高度循環のための技術/Advanced materials recycling technologies(副 / Sub)革新的なエネルギー変換を可能とするマテリアル/Materials enabling innovative energy conversion
キーワード / Keywords
有機エレクトロニクス/ Organic electronics,X線回折/X-ray diffraction,太陽電池/ Solar cell,資源代替技術/ Resource alternative technology
利用者と利用形態 / User and Support Type
利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)
渡邊 賢
所属名 / Affiliation
名古屋工業大学大学院工学研究科
共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes
ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes
利用形態 / Support Type
(主 / Main)機器利用/Equipment Utilization(副 / Sub)-
利用した主な設備 / Equipment Used in This Project
報告書データ / Report
概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)
有機太陽電池などに利用される有機色素は、固体状態の物性が重要である。それは分子配列に基づく分子間相互作用に起因することが知られており、分子構造と固体物性の関係を解明する研究が注目されている。当研究では、これまでにアルコキシ置換ビス(ジオキサボリン)誘導体の固体物性を研究しており、アルキル鎖長に依存して固体状態の色調が赤色から黄色へと変化することを見出した。そこで、アルキル鎖長と色調の変化を調査するために、炭素数がn=6,8の化合物C6とC8を新たに合成し、これらの固体物性を調査した。その結果、C6では分子凝集発光、C8ではモノマー発光を示すことが分かった。
実験 / Experimental
C6とC8の合成を次のように行った。4’-アルコキシアセトフェノンにシュウ酸ジエチルを反応させ、前駆体を得た。これに三フッ化ホウ素ジエチルエーテルを反応させビス(ジオキサボリン)誘導体を合成した。また、単結晶の作製には溶液拡散法を使用し、良溶媒にジクロロメタン、貧溶媒にヘキサンを使った。溶液を室温で数日放置するとC8では黄色の単結晶が得られた。これを単結晶X線結晶構造解析装置(Rigaku VariMax with DW RAPID/UNIlab)を使用して構造解析を行った。
結果と考察 / Results and Discussion
これまでに測定されている化合物C1-C4の結晶では、鎖長が伸長するにつれて分子長軸方向の配列と分子間相互作用が大きく変化した。これに対し、化合物C8の分子配列にはそのような現象は見られず、化合物C1に類似した分子配列と分子間相互作用が観測された(図1)。CH…Fの分子間相互作用に着目すると、化合物C8では2.55, 2.66 Åであり、化合物C1では2.35, 2.64Åであった。このように、化合物C1とC8は類似の分子配列を形成しており、分子間相互作用にも大きな違いは観測されなかった。一方、C1とC6の固体発光スペクトルは、それぞれ635nmと618nmに極大値を示し、C8の極大値(573nm)から大きく長波長シフトした。また、C1をポリメタクリル酸メチル(PMMA)に分散させた試料では、大きな短波長シフトが観測された。この結果から、C1とC6の固体では分子凝集発光、C8ではモノマー発光が観測されていることが分かった。これらの結果を踏まえて、現在、固体物性と分子配列との相関をさらに調査している。
図・表・数式 / Figures, Tables and Equations
図1. 化合物C8の分子構造
その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)
なし
成果発表・成果利用 / Publication and Patents
論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
- 渡邉賢・森義貴・小野克彦 基礎有機化学討論会第32回(令和4年9月21日)
特許 / Patents
特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件