【公開日:2023.08.01】【最終更新日:2023.10.30】
課題データ / Project Data
課題番号 / Project Issue Number
22NI0802
利用課題名 / Title
太陽電池システム材料の構造解析
利用した実施機関 / Support Institute
名古屋工業大学 / Nagoya Tech.
機関外・機関内の利用 / External or Internal Use
内部利用(ARIM事業参画者以外)/Internal Use (by non ARIM members)
技術領域 / Technology Area
【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)計測・分析/Advanced Characterization(副 / Sub)物質・材料合成プロセス/Molecule & Material Synthesis
【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)マテリアルの高度循環のための技術/Advanced materials recycling technologies(副 / Sub)革新的なエネルギー変換を可能とするマテリアル/Materials enabling innovative energy conversion
キーワード / Keywords
X線回折/X-ray diffraction,資源代替技術/ Resource alternative technology,資源使用量低減技術/ Technologies for reducing resource usage,易循環型材料設計技術/ Recycling-friendly material design technology,高度素材識別技術/ Advanced material identification technology,資源循環技術/ Resource circulation technology,未利用資源の有効利用技術/ Technologies for effective utilization of unused resources,太陽電池/ Solar cell
利用者と利用形態 / User and Support Type
利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)
小林 寛法
所属名 / Affiliation
名古屋工業大学大学院工学研究科
共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes
ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes
利用形態 / Support Type
(主 / Main)機器利用/Equipment Utilization(副 / Sub),技術代行/Technology Substitution
利用した主な設備 / Equipment Used in This Project
報告書データ / Report
概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)
有機薄膜太陽電池の研究分野において、高性能なn型半導体の開発が重要課題になっている。今回我々は、有機ホウ素化合物を用いる材料設計を行い、末端構造の異なる有機ホウ素化合物1、2を合成した。(図1)有機薄膜太陽電池における電荷輸送特性には分子のコンホーメーションや配列が大きな影響を与えることが知られている。そこで、合成した化合物の単結晶から分子配列などを解析し、2種類の化合物の僅かな末端構造の違いによる配列の変化を明らかにした。
実験 / Experimental
ホウ素キレート化されたアセチルアセトンからアルドール縮合により目的となる有機ホウ素化合物1、2を得た。この化合物をクロロホルムもしくはアセトンに溶かし、数日放置すると赤色及び緑色の単結晶をそれぞれ得ることに成功した。得られた単結晶については、単結晶X線結晶構造解析装置(Rigaku VariMax with DW RAPID/UNIlab)を用いて構造を解析した。
結果と考察 / Results and Discussion
化合物1、2の結晶構造を図2に示す。化合物1は単斜晶系P21/cの空間群で、化合物2は三斜晶系P1の空間群でそれぞれ結晶化した。1は単位格子あたり1つのクロロホルム分子、2は2つのアセトン分子をそれぞれ結晶中に内包していた。これらの構造は共にジオキサボリン構造を中心に平面性の高い構造をもつことがわかった。末端部分は構造の違いによりねじれ角が大きく異なることがわかった。1では末端フェニル基が架橋され剛直性の高い末端構造に起因する立体反発の影響で55°程度のねじれが生じている。一方で、2では末端が架橋されていない柔軟な構造が立体反発を軽減し、28°程度の比較的小さなねじれをとる。分子配列としては、1では4.05 Åの分子間距離で平行にスタックしカラム構造を形成しているのに対し、2では反平行にスタックしてダイマーを形成することがわかった。分子間相互作用は2の方が強かった。これらの結果から、末端構造の小さな構造変化によって分子のコンホーメーションや配列に大きな影響を与えることがわかった。有機薄膜太陽電池材料として応用した際に色調や電荷輸送特性の違いに違いをもたらすことが考えられる。
図・表・数式 / Figures, Tables and Equations
図1. 末端構造の異なるホウ素化合物1、2
図2. 化合物1、2の結晶構造
その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)
本研究は2022年度分子科学研究所協力研究(22IMS1211)のサポートを受けた。
成果発表・成果利用 / Publication and Patents
論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
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Hironori Kobayashi, Dioxaborin Compounds with Terminal Carbazole Groups: Enhancing Electron Acceptor in Organic Photovoltaics, Asian Journal of Organic Chemistry, 12, (2023).
DOI: https://doi.org/10.1002/ajoc.202300377
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
- 小林寛法・伊澤誠一郎・平本昌宏・小野克彦 第32回基礎有機化学討論会(2022年9月20日)
- 小林寛法・伊澤誠一郎・平本昌宏・小野克彦 第53回中部化学関係学協会支部連合秋季大会(2022年11月5日)
特許 / Patents
特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件