【公開日:2023.08.01】【最終更新日:2023.05.15】
課題データ / Project Data
課題番号 / Project Issue Number
22RO0017
利用課題名 / Title
シリコンウェハのホール効果測定
利用した実施機関 / Support Institute
広島大学 / Hiroshima Univ.
機関外・機関内の利用 / External or Internal Use
外部利用/External Use
技術領域 / Technology Area
【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)計測・分析/Advanced Characterization(副 / Sub)-
【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)革新的なエネルギー変換を可能とするマテリアル/Materials enabling innovative energy conversion(副 / Sub)-
キーワード / Keywords
電気計測, シリコンウェハ, 太陽電池,太陽電池/ Solar cell
利用者と利用形態 / User and Support Type
利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)
田辺 克明
所属名 / Affiliation
京都大学
共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes
ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes
山田真司
利用形態 / Support Type
(主 / Main)技術代行/Technology Substitution(副 / Sub)-
利用した主な設備 / Equipment Used in This Project
報告書データ / Report
概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)
太陽電池は、エネルギー資源枯渇問題と地球環境問題の同時解決につながるデバイスとして期待されている。しかしながら、価格の高さや生産速度の低さにより、これまでのところ主要な代替電力源となるための充分な大規模普及には至っていない。この要因として、太陽電池素子が一連の真空(また調整ガス雰囲気)および高温プロセスを経て製造されていること、そしてそれらが高価な大型機器や長大なプロセス時間を要していることが挙げられる。本研究では、PEDOT:PSS/Si ヘテロ接合太陽電池という有機材料-無機材料ハイブリッド型の太陽電池が、従来のSi太陽電池のような接合形成のための高温での不純物拡散工程が不要であるため、簡便な作製が可能となることに着目し、素材のSiウェハから、大気中かつ室温のみの条件にて太陽電池を作製することを試みている。
実験 / Experimental
上記の文脈から、我々は、不純物濃度が比較的高く、高導電性のSiウェハであってもPEDOT:PSS/Siヘテロ接合が充分な発電性能を示すことを見出すとともに、この特性により電極形成のために要求される工程の条件を大幅に緩和できるのではとの着想を得、実験的実証を行っている。そこで本研究では、Si材料中の不純物ドーピング濃度、電気抵抗率、キャリア移動度といった情報の詳細な分析が必要不可欠となる。広島大学支援機関にて、ホール効果測定装置(HL5500PC)により当方の複数の種類のSiウェハに対し、これらの測定を行って頂いた。
結果と考察 / Results and Discussion
上記ホール効果測定により、各Siウェハのドーピング濃度、電気抵抗率、キャリア移動度の値を得ることができた。それらのデータを基に研究を進め、有機半導体のPEDOT:PSSと電極材料の銀ペースト剤を用いることによって, 10%近くの発電効率を持つ太陽電池を常温常圧下で作製することに初めて成功した.太陽電池の高効率化のために,本研究では表面処理の方法や各材料を塗布する順序を検討し,ウェハ表面を超純水によって酸化し,裏面をHF浸漬によって酸化膜除去するプロセスで最も高い発電効率が得られた.さらにこのプロセスについて,超純水に浸漬する時間がセルに与える影響を検討し,60 s程度のときに発電効率が最も高くなる結果が得られた.本研究によって表面処理がHF水溶液と超純水のみで行われるシンプルな工程で,常温常圧下での太陽電池の作製が可能になり,より低コスト・ハイスループットな太陽電池への応用が期待される. 上側電極と受光部分の距離が離れていると,水平方向の抵抗が大きくなり,反対に受光部分の面積が小さすぎると回折の影響によって性能が正しく測定出来ないため,電極の形状を最適化する必要がある.今後は電極の塗布方法を改善し,適切な電極塗布条件を検討したい.
図・表・数式 / Figures, Tables and Equations
その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)
・山田真司様(広島大学)に感謝します。
成果発表・成果利用 / Publication and Patents
論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
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Kazuya Okamoto, An all ambient, room temperature–processed solar cell from a bare silicon wafer, PNAS Nexus, 2, (2023).
DOI: 10.1093/pnasnexus/pgad067
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
特許 / Patents
特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件