利用報告書 / User's Report

【公開日:2023.08.01】【最終更新日:2023.05.29】

課題データ / Project Data

課題番号 / Project Issue Number

22NU0269

利用課題名 / Title

陽極酸化ポーラスダイヤモンドの表面処理

利用した実施機関 / Support Institute

名古屋大学

機関外・機関内の利用 / External or Internal Use

外部利用/External Use

技術領域 / Technology Area

【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)加工・デバイスプロセス/Nanofabrication(副 / Sub)-

【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)量子・電子制御により革新的な機能を発現するマテリアル/Materials using quantum and electronic control to perform innovative functions(副 / Sub)-

キーワード / Keywords

膜加工・エッチング/Film processing and Etching,表面・界面・粒界制御/ Surface/interface/grain boundary control


利用者と利用形態 / User and Support Type

利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)

深見 一弘

所属名 / Affiliation

京都大学大学院工学研究科

共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes

林 成浩

ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes

坂下 満男

利用形態 / Support Type

(主 / Main)機器利用/Equipment Utilization(副 / Sub),技術代行/Technology Substitution


利用した主な設備 / Equipment Used in This Project

NU-201:イオン注入装置


報告書データ / Report

概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)

ダイヤモンドはSi、SiCの次の世代を担う半導体材料として注目されている。近年では、ドーパントである窒素(N)と炭素空孔(Vc)が隣接したNVセンターから高輝度の発光が得られることが報告され、ダイヤモンドへの期待は益々高まっている。ダイヤモンドを半導体材料として用いる場合、その表面加工は必要不可欠な技術である。しかし、ダイヤモンドは既知物質の中で最もモース硬度が高く、機械的に加工することは不可能である。そこで本研究提案では、電気化学的な表面加工法の一つである陽極酸化を用い、表面の電気化学溶解によりナノ加工を行い,その後にイオン注入によるNドープを実施することで高輝度の蛍光性ナノポーラスダイヤモンドの作製に挑戦した。

実験 / Experimental

前処理としてボロンドープダイヤモンドへ5.1 MeV Si2+イオンを照射した。イオン照射後の試料を作用極に、対極にPtを、参照極にAg/AgCl in sat. KCl aq.電極を用いて0.2 A cm-2の定電流密度で4時間の陽極酸化を行なった。電解液には3 M CH3COOH + 1 M H2SO4の水溶液を用いた。試料の断面はTEMを用いて観察した。XPSによる試料表面の組成分析も行った。ダイヤモンド電極の静電容量は1 M H2SO4水溶液中でのサイクリックボルタンメトリにより行った。この際、電荷移動反応を伴わない電位領域として–0.10 V ~ +0.10 V vs. Ag|AgCl sat. KClを採用し、測定を行った。得られたナノポーラスダイヤモンドに対し,イオン注入装置を用いて窒素ドーパントの注入を行なった。

結果と考察 / Results and Discussion

図1に未処理のボロンドープダイヤモンドとイオン照射および陽極酸化を実施したボロンドープダイヤモンドの断面TEM像を示す。イオン照射と陽極酸化を行った試料の表面は図1(b)に示すようにナノポアが形成した。XPSにより各処理段階における表面の化学状態を分析したところ、イオン照射によって未処理のダイヤモンドでは検出されなかったsp2混成軌道による炭素結合(sp2炭素)の生成が確認された。さらに電解を実施したところsp2炭素のシグナルは消失し、sp3混成軌道による炭素結合(sp3炭素)の大部分がC-H結合へ変化したことが確認された。ダイヤモンドが水素終端されていることを鑑みると、C-H結合由来の強いシグナルは表面のナノポーラス化に起因すると考えられる。ここで得られたナノポーラスダイヤモンドに対して,イオン注入により窒素ドーパントを導入することに成功した。今後,これらの試料を熱処理することで窒素-空孔対に起因する発光の測定を試みる予定である。

図・表・数式 / Figures, Tables and Equations


図1 ボロンドープダイヤモンドの断面TEM像。 (a)は未処理、(b)はイオン照射と陽極酸化を実施した試料を示す。


その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)

なし。


成果発表・成果利用 / Publication and Patents

論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
特許 / Patents

特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件

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