利用報告書 / User's Reports


【公開日:2023.08.01】【最終更新日:2023.05.29】

課題データ / Project Data

課題番号 / Project Issue Number

22NU0256

利用課題名 / Title

スピントロニクスヘテロ構造の軟X線非線形光学効果の研究

利用した実施機関 / Support Institute

名古屋大学 / Nagoya Univ.

機関外・機関内の利用 / External or Internal Use

外部利用/External Use

技術領域 / Technology Area

【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)加工・デバイスプロセス/Nanofabrication(副 / Sub)-

【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)量子・電子制御により革新的な機能を発現するマテリアル/Materials using quantum and electronic control to perform innovative functions(副 / Sub)-

キーワード / Keywords

蒸着・成膜/Evaporation and Deposition,スパッタリング/Sputtering,表面・界面・粒界制御/ Surface/interface/grain boundary control


利用者と利用形態 / User and Support Type

利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)

松田 巌

所属名 / Affiliation

東京大学 物性研究所

共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes

鷲見寿秀

ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes

加藤剛志,大島大輝

利用形態 / Support Type

(主 / Main)機器利用/Equipment Utilization(副 / Sub)-


利用した主な設備 / Equipment Used in This Project

NU-214:8元MBE装置
NU-259:磁気特性評価システム群


報告書データ / Report

概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)

第二次高調波発生(SHG)のような二次の非線形光学効果は表面や界面といった反転対称性の破れた系を敏感にプローブできる手法としてこれまで様々な研究分野で利用されてきた。特に軟X線領域では、SHG信号がそれに加えて元素選択的であることが明らかとなり、SACLA軟X線ビームラインBL1(SXFEL)ではこれまでに金属酸化物を対象として研究展開がされてきた。このように有意義な研究が行われている一方で、これまでに外部印加下でのSHG測定は未開拓であった。その先駆けとして、本研究では磁場を誘起しながら軟X線SHGの観測を行う磁化誘起SHG (MSHG)の手法開発を行った。検証実験では軟X線MSHG効果を増大させるために磁気異方性を持つ多層構造試料を名古屋大学にて作成をした。

実験 / Experimental

試料として面内磁気異方性が確認されているABC積層構造を持つ[Au (2 nm)/Fe (2 nm)/MgO (2 nm)]4/MgO(001)とAB積層構造を持つ[Au (1 nm)/Fe (1 nm)]10/SiO2 (30 nm)/Si(001), [Fe (1 nm)/MgO (1 nm)]10/MgO(001)を用意した。下付きの数字は層構造の繰り返し回数を表している。[Au/Fe/MgO]4/MgO(001)と[Fe/MgO]10/MgO(001)は超高真空分子線エピタキシー法で、[Au/Fe]10/SiO2/Si(001)は汎用スパッタ法で作成した。
SACLA軟X線ビームラインBL1(SXFEL)での実験では、集光したXFELビーム(ω)を試料に対して45度で入射した。反射光は2ωの光を高反射率で反射する多層膜ミラーで反射させ、MCPで光強度を検出した。多層膜ミラーとMCPを回転させることにより、偏光ごとの強度の取得が可能である。試料の後ろに永久磁石(試料表面で45 mT)を設置し、磁場の向きの違いによる軟X線MSHG効果の変化を検出した。入射XFELエネルギーはその二倍波が鉄のM殻吸収端と共鳴効果を満たすように設定した。

結果と考察 / Results and Discussion

軟X線MSHG効果測定前に、軟X線SHGの発生を3つの多層構造試料に対して測定し、[Au/Fe/MgO]4/MgO(001)からのみ観測された。これは[Au/Fe]10/SiO2/Si(001)と[Fe/MgO]10/MgO(001)ではFe層を挟むAu(MgO)層との界面から発生する第二次非線形感受率が打ち消し合うために、SHG効果が見られなかったと考えらえる。
軟X線MSHG測定ではFe M殻吸収端近傍について入射光エネルギー依存測定を実施し、Fe M端でmagnetic asymmetry特有の光学応答が測定できた。

図・表・数式 / Figures, Tables and Equations
その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)

(1) T. Sumi, M. Horio, T. Senoo, Y. Kubota, G. Yamaguchi, T. Wada, M. Miyamoto, K. Yamaguchi, Y. Tsujikawa, Y. Sato, M. Niibe, Y. Hirata, Y. Miyauchi, D. Oshima, T. Kato, S. Owada, K. Tono, M. Yabashi, and I. Matsuda, Observing soft X-ray magnetization-induced second harmonic generation at a heterojunction interface, Applied Physics, Letters (under review). 


成果発表・成果利用 / Publication and Patents

論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
特許 / Patents

特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件

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