利用報告書 / User's Reports


【公開日:2024.10.21】【最終更新日:2024.10.21】

課題データ / Project Data

課題番号 / Project Issue Number

23TU0117

利用課題名 / Title

BaSi2/電子輸送層ヘテロ接合構造の太陽電池の研究

利用した実施機関 / Support Institute

東北大学 / Tohoku Univ.

機関外・機関内の利用 / External or Internal Use

外部利用/External Use

技術領域 / Technology Area

【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)計測・分析/Advanced Characterization(副 / Sub)-

【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)革新的なエネルギー変換を可能とするマテリアル/Materials enabling innovative energy conversion(副 / Sub)高度なデバイス機能の発現を可能とするマテリアル/Materials allowing high-level device functions to be performed

キーワード / Keywords

シリコン基材料・デバイス, 光学材料・素子, エネルギー関連材料,太陽電池/ Solar cell,電子顕微鏡/ Electronic microscope,集束イオンビーム/ Focused ion beam


利用者と利用形態 / User and Support Type

利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)

末益 崇

所属名 / Affiliation

筑波大学 数理物質系 物理工学域

共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes

DU Rui,竹中 晴紀,佐藤 匠

ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes

今野 豊彦,兒玉 裕美子

利用形態 / Support Type

(主 / Main)技術代行/Technology Substitution(副 / Sub)-


利用した主な設備 / Equipment Used in This Project

TU-504:超高分解能透過電子顕微鏡
TU-507:集束イオンビーム加工装置
TU-508:集束イオンビーム加工装置


報告書データ / Report

概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)

バリウムシリサイド(BaSi2)は豊富な元素で構成される半導体であり、禁制帯幅が1.3eVと太陽電池に相応しく、また、光吸収係数が大きいため、薄膜太陽電池材料として注目されている。これまでの研究で、Si基板上にホモ接合太陽電池、p-BaSi2/n-Si等の種々のヘテロ接合型太陽電池が形成され、太陽電池動作が実証されており、BaSi2の光吸収層としてのポテンシャルが確認されてきた[1,2]。本研究は、次のステップとして、BaSi2太陽電池のガラス基板上への展開を目指し、BaSi2の電子輸送層として期待されるa-SiC/TiNとのヘテロ接合を形成し、電子顕微鏡により評価した。BaSi2の電子親和力は3.2eVであり、a-SiCは約3.5eVである。また、TiNの仕事関数は5eVに近いため、BaSi2で生じた光生成電子はTiNへ輸送されると期待される[3]。

実験 / Experimental

ガラス基板上にRFスパッタ法によりTiN(200 nm)/a-SiC(5 nm)を室温で堆積し、その後、基板温度を650度に上げてBaSi2およびBaターゲットの同時スパッタにより、BaSi2膜 (250 nm)を堆積した。試料をFIBで切り出し、透過型電子顕微鏡(TEM)で断面構造を観察した。

結果と考察 / Results and Discussion

図1(a)に断面TEM像、図1(b)に高分解像を示す。これより、a-SiC膜がBaSi2膜およびTiN膜の間に残って存在することが確認された。また、高分解像より、BaSi2は高温堆積により結晶化が進んでいる一方で、SiCは期待していたようにアモルファスの状態で存在すると言える。この試料について分光感度を測定したところ、膜厚方向に0.5Vのバイアス印加時に、最大で2 A/Wを達する値が得られ、良好な光学特性を示した。

図・表・数式 / Figures, Tables and Equations


図1 (a) BaSi2/a-SiC/TiN構造のTEM像、(b)高分解TEM像


その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)

[1] T. Suemasu and N. Usami, Journal of Physics D: Applied Physics 50, 023001 (2017).[2] T. Suemasu and D. B. Migas, Physica Status Solid A 219, 2100593 (2022).[3] R. Du, S. Aonuki, H. Hasebe, K. Kido, H. Takenaka, K. Toko, M. Mesuda, and T. Suemasu, Japanese Journal of Applied Physics 62, SD1015 (2023). 


成果発表・成果利用 / Publication and Patents

論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
  1. Rui Du, Formation of High-Photoresponsivity BaSi2 Films by Radio-Frequency Sputtering and Evaluation of a BaSi2/TiN/Glass Heterojunction by Transmission Electron Microscopy, ACS Applied Materials & Interfaces, 16, 52595-52603(2024).
    DOI: https://doi.org/10.1021/acsami.4c06859
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
  1. R. Du, H. Takenaka, T. Sato, Y. Koda, M. Mesuda, K. Toko, and T. Suemasu, 71st JSAP Spring meeting, 24a-12k-7, Tokyo, March 24, 2024.
特許 / Patents

特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件

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