【公開日:2024.07.25】【最終更新日:2024.04.15】
課題データ / Project Data
課題番号 / Project Issue Number
23KT1240
利用課題名 / Title
高温超伝導体の微細構造を用いた新規物性研究
利用した実施機関 / Support Institute
京都大学 / Kyoto Univ.
機関外・機関内の利用 / External or Internal Use
内部利用(ARIM事業参画者以外)/Internal Use (by non ARIM members)
技術領域 / Technology Area
【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)加工・デバイスプロセス/Nanofabrication(副 / Sub)-
【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)量子・電子制御により革新的な機能を発現するマテリアル/Materials using quantum and electronic control to perform innovative functions(副 / Sub)-
キーワード / Keywords
Bi2212,テラヘルツ波,周波数変調,ワイヤーボンディング/ Wire Bonding,超伝導/ Superconductivity
利用者と利用形態 / User and Support Type
利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)
掛谷 一弘
所属名 / Affiliation
京都大学 大学院工学研究科
共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes
柳生望光
ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes
利用形態 / Support Type
(主 / Main)機器利用/Equipment Utilization(副 / Sub),技術相談/Technical Consultation
利用した主な設備 / Equipment Used in This Project
KT-223:ウェッジワイヤボンダ
KT-224:ボールワイヤボンダ
報告書データ / Report
概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)
超伝導体は、量子化渦糸など、サブミクロンスケールで量子状態が観測できる系である。本研究では、サブミクロンの精度で微細加工した高温超伝導体において観測される本質的な物性を観測することにより、高温超伝導発現機構の解明やデバイスとしての応用を目指す。
特に、Bi2212銅酸化物高温超伝導体から作られるテラヘルツ光源について、作業者の練度が必要な工程を減らし、デバイス作製の再現性を高めるために、配線をワイヤーボンダーで行い、さらに高周波バイアス印加も可能にすることを目的とする。
実験 / Experimental
所属研究室の装置を用いてフォトリソグラフィとアルゴンイオンミリングで作成した高温超伝導体単結晶上のメサ構造に京大ナノハブのボールボンダー(KT-223:ウェッジワイヤボンダ、KT-224:ボールワイヤボンダ)を用いて25ミクロンの金線のボンディングを試みた。
結果と考察 / Results and Discussion
高温超伝導体単結晶メサ構造上にTiとAuの順で研究室の電子ビーム蒸着装置を用いて成膜し、京大ナノハブのワイヤーボンディング装置を用いて接着を試みたところ、表1に示す結果であった。また、接続ができたデバイスの写真を図1に、電流電圧特性を図2に示す。
当初、ボールボンダーのファーストボンディングをメサ構造上、セカンドボンディングを電極上に接着するという計画であったが、ファーストボンディングで接着したとしても、ワイヤの引っ張り張力で結晶を劈開してしまうので、逆の順番の方が良いということになった。しかし、セカンドボンディングは位置精度が低く、メサ上への接着にはあまり適していない。
結論としては、メサ構造に直接ボンディングを行うのは適切ではないということになった。そのため、メサ構造から結晶外まで伸びるような電極を作製し、結晶外でボンディングを行うことで解決を図っている。その際、電極に用いる金属とBi2212の接触性が課題となるため、蒸着後の熱処理プロセスやバッファ層(二酸化シリコン)の蒸着で課題改善を図っている。
図・表・数式 / Figures, Tables and Equations
図 1:メサ構造(赤線)につながるボンディング用スペース(青線)にボンディングした様子。配線自体には成功したが発振が確認できなかった。図 1:メサ構造(赤線)につながるボンディング用スペース(青線)にボンディングした様子。配線自体には成功したが発振が確認できなかった。
図2: 2022年度の利用時に接続に成功したデバイスの電流電圧特性。特徴的なヒステリシスが見えており、温度依存性も過去の結果とコンシステントである。
表1:ワイヤーボンディング試行条件。ボンディングパラメータは代表的なものを記載しているが、特にPowerについては様子を見ながらパラメータを変更して行った。
その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)
参考文献:「多メサ同期制御のためのジョセフソンプラズマ発振器の開発」、柳生 望光、小林 亮太、掛谷 一弘、応用物理学会2022年秋季学術講演会、2022年9月21日、東北大学
成果発表・成果利用 / Publication and Patents
論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
特許 / Patents
特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件