【公開日:2024.07.25】【最終更新日:2024.04.11】
課題データ / Project Data
課題番号 / Project Issue Number
23KT1276
利用課題名 / Title
酸化チタンナノアンテナにおける表面格子共鳴の制御と発光増強
利用した実施機関 / Support Institute
京都大学 / Kyoto Univ.
機関外・機関内の利用 / External or Internal Use
内部利用(ARIM事業参画者以外)/Internal Use (by non ARIM members)
技術領域 / Technology Area
【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)加工・デバイスプロセス/Nanofabrication(副 / Sub)-
【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)マルチマテリアル化技術・次世代高分子マテリアル/Multi-material technologies / Next-generation high-molecular materials(副 / Sub)量子・電子制御により革新的な機能を発現するマテリアル/Materials using quantum and electronic control to perform innovative functions
キーワード / Keywords
ナノインプリント,光透過フィルタ,蒸着・成膜/ Vapor deposition/film formation,電子線リソグラフィ/ EB lithography,フォトニクス/ Photonics,3D積層技術/ 3D lamination technology
利用者と利用形態 / User and Support Type
利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)
村井 俊介
所属名 / Affiliation
京都大学 大学院工学研究科
共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes
ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes
今井健次
利用形態 / Support Type
(主 / Main)機器利用/Equipment Utilization(副 / Sub)-
利用した主な設備 / Equipment Used in This Project
KT-203:電子線蒸着装置
KT-257:ナノインプリントシステム
KT-115:大面積超高速電子ビーム描画装置
報告書データ / Report
概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)
Surface lattice resonance(SLR)は、周期的に並んだ個々のナノ粒子における共鳴が光回折を介して共振した光学状態であり、発光材料と組み合わせることで、発光強度の増強や指向性の制御を実現できる。特に、高屈折率誘電体ナノ粒子のMie共鳴を構成要素とするSLR(Mie–SLR)は、光損失を材料選択によって低減できる点や、電気モードと磁気モードの両方が光学応答に関与する点から、近年積極的に研究されている。Mie共鳴の多極性に由来する光学応答の1つに、Kerker効果がある。Kerker効果は、電極分極と磁気分極から生じる散乱場の干渉により、前方あるいは後方散乱が完全に抑制される特異的な散乱現象である。SLRを利用したKerker効果はLattice–Kerker効果として知られている。とりわけ、電気–磁気SLR間の干渉に基づくLattice–Kerker効果は、2つのモード交差が狭い波長・角度領域に限られるため、発光材料と組み合わせることで、単独のSLRに比べてより高度な指向性制御に基づく発光増強の実現が期待できる。
以上を踏まえ、本研究では、可視域におけるSLR同士のモード交差によって生じるLattice–Kerker効果を利用した発光増強の実証に向けて、矩形TiO2ナノ粒子アレイの作製と光学特性の評価を行った。アレイ周期に対するナノ粒子の空間充填率を矩形の長軸長さによって制御することで、電気–磁気SLRが交差するようにSLRの分散関係を調整した。アレイに塗布した発光層における発光増強度から散乱特性の評価を行い、Lattice–Kerker効果の有無を検証した。
実験 / Experimental
SiO2ガラス基板上に、矩形Tiナノ粒子アレイをKT-257:ナノインプリントシステムを用いたナノインプリント法によって作製し、900 ℃で10分間の熱酸化を行うことで矩形TiO2ナノ粒子アレイを得た。消光スペクトル測定から得たSLRの分散関係と、走査型電子顕微鏡(SEM)観察の結果から、SLRのモード帰属を行った。色素分子を含有したポリメタクリル酸メチル(PMMA)を矩形TiO2ナノ粒子アレイに塗布し、アレイの表裏に放出される発光の放出各依存性を測定した。
結果と考察 / Results and Discussion
矩形TiO2ナノ粒子アレイの消光スペクトルの入射角依存性において、ナノ粒子の空間充填率の上昇に伴う入射角0 °付近の分散関係の変化による電気–磁気SLRの交差を確認した。アレイ前方および後方の発光増強度を、発光層の膜厚ごとに評価したところ、膜厚に依存せず電気および磁気モードの交差点で著しい発光増強が見られた (図 1)。
図・表・数式 / Figures, Tables and Equations
図1:酸化チタンナノアンテナに色素を塗布した系からの発光増強の放出角度依存性
その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)
成果発表・成果利用 / Publication and Patents
論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
- 第84回応用物理学会・秋季学術講演会(2023年9月19-23日@熊本城ホールほか)[21p-A309-10]矩形酸化チタン(IV)ナノ粒子アレイにおける粒子の空間充填率を介した表面格子共鳴の制御と発光増強 〇東野 真、村井 俊介、田中 勝久
特許 / Patents
特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件