【公開日:2024.07.25】【最終更新日:2024.06.04】
課題データ / Project Data
課題番号 / Project Issue Number
23SH0017
利用課題名 / Title
摩擦撹拌プロセスによるAI基複合材の機械的特性の改善
利用した実施機関 / Support Institute
信州大学 / Shinshu Univ.
機関外・機関内の利用 / External or Internal Use
外部利用/External Use
技術領域 / Technology Area
【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)物質・材料合成プロセス/Molecule & Material Synthesis(副 / Sub)-
【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)マルチマテリアル化技術・次世代高分子マテリアル/Multi-material technologies / Next-generation high-molecular materials(副 / Sub)-
キーワード / Keywords
X線顕微鏡,異種材料接着・接合技術/ Dissimilar material adhesion/bonding technology
利用者と利用形態 / User and Support Type
利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)
尾和 智信
所属名 / Affiliation
長野県工科短期大学校
共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes
ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes
利用形態 / Support Type
(主 / Main)共同研究/Joint Research(副 / Sub)-
利用した主な設備 / Equipment Used in This Project
報告書データ / Report
概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)
実用軽量材料としてのアルミニウム(Al)合金の特徴を生かすべく,摩耗特性の改善方法を検討した.様々な機能を持つ硬質粒子を Al 合金中に均一に分散することができれば,新たな用途・機能が期待できる.そこで,摩擦撹拌プロセス(FSP)を用いて,MoS2やグラファイトを添加した Al基複合材の作製を試みた.その組織が機械的性質等に及ぼす影響を実験的に検証した.
実験 / Experimental
母材は5083 Al合金とし,摩耗特性向上のために添加する固体粉体は,二硫化モリブデン(MoS2)とした.MoS2はせん断に対し変形しやすく低い摩擦係数が期待されるからである.母材粉体は,母材切りくずをボールミル粉砕処理し80μ以下に分級した粉体を用いた.この母材粉体とMoS2を所定量秤量し,3Dボールミリングにより十分に攪拌,混合した.その混合粉を金型に充填し,加熱温度200℃,加圧応力140 MPa,1hr保持を経て固め,3.5×50×1.6mmの板状成形体に仕上げた.作製した成形体を母材に加工した溝に挟み込みFSP法を適用した(Fig.1).回転させたツールを母材表面に押し込み,摩擦熱で軟化させてツールを移動することで母材金属組織を攪拌することができる.
結果と考察 / Results and Discussion
MoS2粉末と3Dボールミルで混合したA5083-20vol%MoS2混合粉末のSEM観察により,A5083粉末とMoS2粉末は比較的均一に混合されていることを確認した。Fig.2(A)に示す断面マクロ組織において,添加されたMoS2相はFSP領域と基材との境界付近に偏析が認められたものの,FSP中央部は比較的均一に分散した.(B)は(A)に対応した硬さ分布図であり,攪拌部は160~200 HVに硬化したことが分かった.迅速摩耗試験は,制御された押付け力を負荷しながら,回転させた回転円板と平板の摩耗試験片を接触させ摩耗させる.一定距離接触させた後の摩耗痕の幅から摩耗量を算出する手法である(Fig.3).Fig.4に,液体潤滑は用いず乾式のすべり摩耗特性を調べた結果を示す.比摩耗量と摩擦速度との関係を示すグラフであるが,母材に関しては点線で,10vol%MoS2材については実線で平均値を示した.基材,複合材ともに摩擦速度が増加するにしたがい比摩耗量は増加したが,10vol%MoS2複合材の比摩耗量はいずれの速度域でも低下した.特に中速域では顕著に低下した.摩耗特性に一定の改善が見られたので,MoS2添加量を変えるなどさらに試験・検討を続ける.
図・表・数式 / Figures, Tables and Equations
Fig.1 Schematic of fabrication process using friction stir processing.
Fig.2 Cross section of 20vol%MoS2 stirred zone produced (A) and Vickers hardness distribution (B).
Fig.3 Schematic of rapid wear test.
Fig.4 Relation between specific wear loss and friction speed. Friction length 150 m, final contact force 54 N. Open triangle: individual datum for A5083, filled circle: individual datum for 10vol%MoS2.
その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)
本研究の一部は,信州大学マテリアルリサーチインフラ事業の援助を受けた.記して感謝する.また,信州大学先鋭材料研究所の清水保雄特任教授および共同研究者の貝梅正二氏には,研究結果の討議や評価手法について的確な指摘を頂いた.記して感謝する.
成果発表・成果利用 / Publication and Patents
論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
- 尾和智信,清水保雄,貝梅正二,岩本多加志,橋本佳男,”摩擦攪拌法により作製したA5083-MoS2複合材のすべり摩耗特性”,溶接学会2023年度秋季全国大会,2023年9月14日
特許 / Patents
特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件