【公開日:2024.07.25】【最終更新日:2024.03.25】
課題データ / Project Data
課題番号 / Project Issue Number
23KT1151
利用課題名 / Title
シリコンの三次元微細構造を利用したアルカリ金属ガス封入セル
利用した実施機関 / Support Institute
京都大学 / Kyoto Univ.
機関外・機関内の利用 / External or Internal Use
内部利用(ARIM事業参画者以外)/Internal Use (by non ARIM members)
技術領域 / Technology Area
【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)加工・デバイスプロセス/Nanofabrication(副 / Sub)-
【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)マルチマテリアル化技術・次世代高分子マテリアル/Multi-material technologies / Next-generation high-molecular materials(副 / Sub)量子・電子制御により革新的な機能を発現するマテリアル/Materials using quantum and electronic control to perform innovative functions
キーワード / Keywords
エッジデバイス,原子時計,アルカリ金属原子,周波数標準器,ガスセル,蒸着・成膜/ Vapor deposition/film formation,膜加工・エッチング/ Film processing/etching,光リソグラフィ/ Photolithgraphy,量子効果/ Quantum effect,3D積層技術/ 3D lamination technology
利用者と利用形態 / User and Support Type
利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)
平井 義和
所属名 / Affiliation
京都大学 大学院工学研究科
共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes
清瀬俊,村上諒
ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes
利用形態 / Support Type
(主 / Main)機器利用/Equipment Utilization(副 / Sub)-
利用した主な設備 / Equipment Used in This Project
KT-111:ウエハスピン洗浄装置
KT-234:深堀りドライエッチング装置(1)
KT-203:電子線蒸着装置
KT-104:高速マスクレス露光装置
報告書データ / Report
概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)
次世代の情報通信社会に必要な技術の一つとして、エッジデバイス間の高精度な時刻同期を実現する原子時計チップが注目されている。原子時計は、アルカリ金属原子が持つ光量子効果を利用した周波数標準器であるため、従来の水晶型時計よりも高精度な周波数同期が可能である。原子時計の基幹部品であるガスセルは、シリコンとガラスで作製した容器にアルカリ金属ガスとバッファガスを封入した部品である。現在、小型で高性能なガスセルを量産するための製造技術は確立されていない。そこで本研究では、シリコン微細加工技術で作製した三次元構造を用いたアルカリ金属ガス生成法により、小型かつ高性能なガスセルの量産化技術を確立することを目的とする。
実験 / Experimental
ガスセル作製プロセスは、まず、シリコン深掘りドライエッチング(DRIE)用のエッチングマスクとなるクロムをシリコンウェハに蒸着し、アルカリ金属生成部や光学チャンバなどのパターンを紫外線露光でパターニングした。次にクロムのウェットエッチングで露出したシリコン部をDRIEで加工した。ここでは、エッチングプロセス時間とサイクル数を制御することで、アルカリ金属を試薬の加熱分解で生成するための三次元微細構造(アルカリ金属生成部)と深さ1.5mmの光学チャンバ(Fig. 1)を作製した。続いて陽極接合装置を用いてシリコンウェハの片面にガラスウェハを陽極接合し、アルカリ金属の生成試薬であるアルカリ金属アジ化物の水溶液を滴下、乾燥することでシリコンの三次元微細構造上に担持させた。その後、ガラスウェハを接合してガスセルを真空封止した。最後に、ウェハをチップサイズにダイシングし、ホットプレートで加熱してアルカリ金属を生成した。
結果と考察 / Results and Discussion
シリコン深掘りドライエッチング装置を用いて、三次元微細構造と光学チャンバを有するガスセル構造をウェハレベルで作製した。ピラー構造の側壁に凹凸を有する三次元微細構造は、シリコンの高アスペクト比加工を行うボッシュプロセスの保護膜形成と等方性エッチングのプロセス時間を調整することで、深さ方向に均一な凹形状を持つ三次元構造を作製できた(Fig. 2)。真空封止したガスセルを約360℃、約10分間加熱することで、アジ化ルビジウムの分解反応によって、ルビジウムが生成した。これは、平坦なガラス基板上でアジ化ルビジウムを加熱する従来のアルカリ金属生成法と比較して、低温・短時間である。今後は、作製したガスセルを原子時計に組み込み、時刻計測の精度を評価する予定である。
図・表・数式 / Figures, Tables and Equations
Fig. 1. Schematic illustration of the miniaturized alkali-metal vapor cell
Fig. 2. SEM photo of the fabricated the Si microstructures
その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)
成果発表・成果利用 / Publication and Patents
論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
- R. Murakami, S. Kiyose, Y. Hirai, "Smaller Footprint of Alkali-metal Vapor Cells With Microfabricated On-chip Dispensing Component", The 37th IEEE International Conference on Micro Electro Mechanical Systems (IEEE MEMS 2024), Austin, TX USA (January, 2024), M81-i
特許 / Patents
特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件