利用報告書 / User's Reports


【公開日:2024.07.25】【最終更新日:2024.06.24】

課題データ / Project Data

課題番号 / Project Issue Number

23JI0017

利用課題名 / Title

層状窒化炭素薄膜の2次元半導体としての評価

利用した実施機関 / Support Institute

北陸先端科学技術大学院大学 / JAIST

機関外・機関内の利用 / External or Internal Use

外部利用/External Use

技術領域 / Technology Area

【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)物質・材料合成プロセス/Molecule & Material Synthesis(副 / Sub)計測・分析/Advanced Characterization

【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)次世代ナノスケールマテリアル/Next-generation nanoscale materials(副 / Sub)高度なデバイス機能の発現を可能とするマテリアル/Materials allowing high-level device functions to be performed

キーワード / Keywords

エレクトロデバイス/ Electronic device,ナノシート/ Nanosheet


利用者と利用形態 / User and Support Type

利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)

羽渕 仁恵

所属名 / Affiliation

独立行政法人国立高等専門学校機構岐阜工業高等専門学校電気情報工学科

共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes

羽渕仁恵

ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes

村上達也

利用形態 / Support Type

(主 / Main)技術代行/Technology Substitution(副 / Sub)-


利用した主な設備 / Equipment Used in This Project

JI-015:正・逆光電子分光装置


報告書データ / Report

概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)

グラファイト状窒化炭素とも呼ばれる2次元の窒素と炭素による結晶が層状になった層状窒化炭素は光触媒性を持ち、バンドギャップが約2.7 eVの新しい半導体として注目されている。CNはメラミンや尿素などを熱縮合させることで合成できる。この方法で得られる生成物は粉末状であるが、気相成長法を用いることで層の配向性の高い層状窒化炭素薄膜を合成している。この薄膜のエネルギーバンド構造を調べるために光電子収量分光と逆光電子分光法を用い価電子帯と伝導帯の情報を得ることを目的とした。

実験 / Experimental

石英ガラス基板に金をスパッタし、その上に層状窒化炭素薄膜をメラミンを原料にして管状炉で加熱して合成した。価電子帯は光電子収量分光(PYS;  photoelectron yield spectroscopy)、伝導帯は逆光電子分光法(IPES; inverse photoelectron spectroscopy)にて測定し、トランスポートギャップを推定する。

結果と考察 / Results and Discussion

層状窒化炭素のバンドギャップは光学約に求められた2.7 eVとされている。これは間接遷移型または非結晶の場合のタウツプロットで求められているが、層状窒化炭素がこの方法に適応できるか検討が必要である。しかし、光吸収スペクトルの立ち上がりはログスケールでみると明確に2.7eVにあり、光吸収のエッジとしては2.7eVとして認識されている。膜厚20nmと9nmの層状窒化炭素薄膜についてPYSの結果を図1に示す。このグラフにより価電子帯端(HOMO)の真空を基準としたエネルギーは-7.0 eVであった。IPSの結果を図2示す。立ち上がりが不明瞭である。光学ギャップから、立ち上がりは真空準位から-4eVあたりにあると考えられるが、実験結果からはトランスポートギャップを見積もることは困難だった。原因として電子照射による試料のダメージが考えられる。

図・表・数式 / Figures, Tables and Equations


図1 厚さが9nmと20nmの窒化炭素薄膜のPYSスペクトル



図2 厚さが9nmと20nmの窒化炭素薄膜のIPESスペクトル


その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)

本研究の一部は、JSPS科研費JP21K04838および文部科学省「マテリアル先端リサーチインフラ」事業(課題番号 JPMXP1223JI0017, JPMXP1223BA0049)の支援を受けた実施した。本測定に関してご支援頂きました北陸先端科学技術大学院大学の村上 達也氏に感謝申し上げます。


成果発表・成果利用 / Publication and Patents

論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
  1. 羽渕仁恵,廣井智喜,笠島愛莉,ゴーシャンワィ、"層状窒化炭素薄膜のエネルギーバンド構造の考察", 応用物理学会学術講演会(東京)、令和6年3月25日
  2. 羽渕仁恵、"新しい2次元半導体-層状窒化炭素薄膜-"、第13回高専-TUT太陽電池合同シンポジウム(岐阜)、令和5年12月23日
特許 / Patents

特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件

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