【公開日:2024.07.25】【最終更新日:2024.03.25】
課題データ / Project Data
課題番号 / Project Issue Number
23KT1083
利用課題名 / Title
微細表面構造を有する機能性ポリマー薄膜の作製
利用した実施機関 / Support Institute
京都大学 / Kyoto Univ.
機関外・機関内の利用 / External or Internal Use
外部利用/External Use
技術領域 / Technology Area
【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)加工・デバイスプロセス/Nanofabrication(副 / Sub)-
【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)マルチマテリアル化技術・次世代高分子マテリアル/Multi-material technologies / Next-generation high-molecular materials(副 / Sub)-
キーワード / Keywords
表面加工,ナノインプリント,表面機能,ナノインプリント,3D積層技術/ 3D lamination technology
利用者と利用形態 / User and Support Type
利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)
本柳 仁
所属名 / Affiliation
京都工芸繊維大学 大学院工芸科学研究科
共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes
岸本海翔,箕田雅彦
ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes
利用形態 / Support Type
(主 / Main)機器利用/Equipment Utilization(副 / Sub)-
利用した主な設備 / Equipment Used in This Project
報告書データ / Report
概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)
これ迄に様々な接着性材料が開発されているが、化学接着剤における3次元架橋形成による機構とは異なり、水素結合、π-π相互作用、静電相互作用などが多点で働くことにより接着性を発現する表面機能材料に関心が持たれている。一例として、正と負の電荷をもつポリマー鎖をそれぞれグラフト修飾した2枚の基板間に働く静電相互作用により、基板どうしが接着できることが報告されている。他方、高密度で鉛直配向したサブミクロンスケールのピラー構造を表面に有する薄膜は、新たな表面機能材料として注目されている。本研究では、鉛直配向したピラー表面に正と負の電荷を有するポリマーをグラフト修飾した階層的表面構造からなる薄膜を各々作製し、ピラー間の相互貫入と静電相互作用とのシナジー効果に基づく表面接着性材料の創製を目指す。具体的には、ナノインプリント法と精密グラフト重合を併用して、グラフト修飾ピラーを持つ表面機能薄膜材料を作製した
実験 / Experimental
基板上に、スピンコートでポリマーフィルムを成膜し、貫通型細孔をもつ陽極酸化ポーラスアルミナ(AAO)を乗せナノインプリンティング(利用装置;B26 ナノインプリントシステム)を行った。1 M H3PO4 aq.で鋳型である AAO を溶解除去した後、フィルム表面のモルホロジーをSEM観察した結果、AAOの細孔構造が転写された鉛直配向ポリマーピラー構造体(直径200-300 nm)の形成を確認した。高圧水銀灯による光照射を行うことで光架橋反応によるピラー構造の固定化(溶剤への不溶化)を行った。正電荷と負電荷をもつモノマー(MTACとSPMK)を用いて表面開始ATRPを行い、カチオン性ならびにアニオン性ポリマーでグラフト修飾された 2 種類のピラー薄膜を作製した。両者の接着特性は、2種の薄膜を水で濡れた状態で圧着し、乾燥させた後、剪断強度測定により評価した。
結果と考察 / Results and Discussion
合成したポリマーをSi基板上にスピンコートした後、鋳型として貫通型高規則性AAOをポリアミック酸A薄膜上に置き、100 oC, 40 barで120 s加熱圧着した(ナノインプリント法)。1 M H3PO4水溶液に一晩浸漬させることでAAOを溶解除去し、蒸留水で洗浄したのち乾燥させた。得られたポリマー薄膜表面のモルフォロジーをSEM観察した結果、AAOの細孔構造が転写されたポリマーピラー構造体の形成を確認した。光照射によるピラー構造の固定化を行ったのち、正電荷と負電荷をもつモノマー(MTACとSPMK)を用いて表面開始ATRPを行い、カチオン性ならびにアニオン性ポリマーでグラフト修飾された 2 種類のピラー薄膜を作製した。静的接触角測定からどちらも数度となり、フィルム表面が親水化されたことを確認し、ピラー表面のグラフト重合の進行が示唆された。次いで、両者の接着特性は、2種の薄膜を水で濡れた状態で圧着し、乾燥させた後、剪断強度測定により評価した。その結果、今回合成したピラーフィルムでは、100 N/cm2以上の値を示した。一方、ピラー構造を組み込んでいない平滑フィルムどうしの接着では、6 N/cm2となった。これらの結果より、微細構造を組み込んだ本系では、高い接着特性を示すことを明らかにした。
図・表・数式 / Figures, Tables and Equations
Fig. 1 SEM image of polymer pillar film obtained by nanoimprinted under 100 oC, 40 Bar for 120 s.
その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)
成果発表・成果利用 / Publication and Patents
論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
- 第69回高分子研究発表会(神戸)、岸本海翔、本柳 仁、箕田雅彦
特許 / Patents
特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件