利用報告書 / User's Reports


【公開日:2024.07.25】【最終更新日:2024.07.04】

課題データ / Project Data

課題番号 / Project Issue Number

23UT1213

利用課題名 / Title

日仏微細加工プラットフォーム技術協力による微細メッキ技術の高度化

利用した実施機関 / Support Institute

東京大学 / Tokyo Univ.

機関外・機関内の利用 / External or Internal Use

内部利用(ARIM事業参画者)/Internal Use (by ARIM members)

技術領域 / Technology Area

【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)加工・デバイスプロセス/Nanofabrication(副 / Sub)-

【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)高度なデバイス機能の発現を可能とするマテリアル/Materials allowing high-level device functions to be performed(副 / Sub)-

キーワード / Keywords

めっき,蒸着・成膜/ Vapor deposition/film formation,スパッタリング/ Sputtering,リソグラフィ/ Lithography,光リソグラフィ/ Photolithgraphy,高品質プロセス材料/技術/ High quality process materials/technique,エレクトロデバイス/ Electronic device,先端半導体(超高集積回路)/ Advanced Semiconductor (Very Large Scale Integration)


利用者と利用形態 / User and Support Type

利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)

三田 吉郎

所属名 / Affiliation

東京大学大学院工学系研究科

共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes

David Bourrier,Hugues Granier,安永竣,島本直伸

ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes

水島彩子,太田悦子,河井哲子,井上友里恵

利用形態 / Support Type

(主 / Main)共同研究/Joint Research(副 / Sub),機器利用/Equipment Utilization


利用した主な設備 / Equipment Used in This Project

UT-711:LL式高密度汎用スパッタリング装置(2019)
UT-505:レーザー直接描画装置 DWL66+2018
UT-606:汎用平行平板RIE装置
UT-707:銅メッキ装置
UT-800:クリーンドラフト潤沢超純水付


報告書データ / Report

概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)

世界には、日本でのARIMの微細加工施設に相当するネットワーク組織が多数存在する。中でも先発組と目される組織はフランス共和国立科学研究センター(CNRS)がオペレートするRTB-RENATECHである。RENATECHは2003年に組織されて以来継続され発展している。2013年-2023年に代表を努めたMichel de Labachererie教授が発起人となり、ヨーロッパ中の40を超えるナノテク微細加工拠点がアライアンス「EuroNanoLab」を結成して情報交換および技術交換を行なっている。東京大学ARIM微細加工部門の三田教授とde Labachererie教授とは25年来の知己であり、このコネクションを軸に、日仏のナノテク拠点間での技術向上のための試みが2014年来継続的に行なわれている。
特に、三田教授はフランス国内のRENATECH技術研究会であるJNTE会議(奇数年開催)に2015年から招聘されて運営委員を務める中で、フランスの五大ナノテクハブ拠点の一角をなすLAAS研究所の技術者(David Bourrier氏)からメッキ技術による協業を提案され、双方の責任者(三田教授とHugues Granier博士)の合意のもと、それぞれの自前資金を持ち寄って相互交流を行なうこととした。
主要な装置は東京大学ARIM微細加工部門にも4台設置されている「山本鍍金試験器製」のメッキ装置であり、Bourrier氏の実験によれば世界で最もコストパフォーマンスの高い装置であるという発表がJNTE国際会議(2017年)に発表されて以来、全てのフランスハブ拠点に導入され、実績を上げている。従って、LAAS研究所と日本製の装置を使用したプロセス技術の向上協業を行なうことは、本邦の世界的プレゼンスに直接貢献するため、波及効果の観点から強く推進されるべきであると考えられる。

実験 / Experimental

具体的には、2023年2月末にBourrier氏およびGranier氏を東京大学拠点に招聘し、銅メッキ装置および超臨界二酸化炭素による銅製膜装置の実験を行なった。そこで課題を明らかにし、2023年度に継続して東大側研究参加者がプロセスを実験を行った。特に今回の実験では、東京大学ARIM微細加工施設ではチップ(例えば2cmにカットしたもの)に対してメッキプロセスを行なうリクエストが頻繁に来るが、「チップのままで」メッキをするべきなのか、「4インチウエーハに貼り付けて」メッキを行なうべきなのかという問題を取りあげた。上記の問題を実験的に検証するため、銅メッキプロセスによる対照実験を行なった。
プロセスは以下のとおり: シリコンウエーハにLL式スパッタリング装置で50nmのCu層を種層としてスパッタリングして用意し、20mmにカットした。標準フォトレジスト(JSR PFR 7790G)を塗布し、レーザー直描装置(DWL66+)によってライン&スペース形状を描画しモールドとした。2枚のチップのうち、1枚は種層でカバーされた4インチウエーハに銅箔テープで四隅を留めて配置し、ウエーハ用のコンタクト治具(8点で接触)し、もう1枚はピンセット状のチップ専用治具で狭んでコンタクトを取り(1点)、同一条件でめっきを700nm程度行なった。

結果と考察 / Results and Discussion

測定はレーザー顕微鏡OLS5000で行い、高さプロファイルのばらつきを比較したところ、4インチウエーハに貼り付けてプロセスを行ったサンプルの方がよりめっき高さばらつきの小さい結果となった。この様子を図1に示す。本結果を2023年5月にパリサクレー市で開催されたEuroNanoLab主催の技術・運営に関する国際会議であるENRIS国際会議投稿し採択されたので、共著の口頭発表(2件)を行なった。

図・表・数式 / Figures, Tables and Equations


図1  4インチウエーハに貼りつけてメッキ試験を行なった様子


その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)

RENATECH拠点からは今後も東京大学との協業を強くリクエストされている。今後も日本が世界のナノテク技術に対して名誉ある位置を占めることを目的として関係強化に努める。


成果発表・成果利用 / Publication and Patents

論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
  1. Shun Yasunaga, David Bourrier, Naonobu Shimamoto, Ayako Mizushima, Hugues Granier, and Yoshio Mita, "Chip or Wafer - Small quantity fabrication", 3rd European Nanotechnology Research Infrastructure Symposium (ENRIS 2023), 15-17 May, Paris, France (2023.5.15)
  2. Etsuko Ota, David Bourrier, Naoto Usami, Ayako Mizushima, Naonobu Shimamoto, Takeshi Momose, Akio Higo, Hugues Granier, and Yoshio Mita, "Technology transfer of supercritical fluid deposition technology from research group to use in open nanotechnology facilities", 3rd European Nanotechnology Research Infrastructure Symposium (ENRIS 2023), 15-17 May, Paris, France (2023.5.17)
特許 / Patents

特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件

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