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ナノテク情報

デバイス・応用

業界最高の面記録密度201Gbit/inch2を達成した磁気テープストレージ技術を開発 ~従来比20倍の密度により330テラバイトの大容量記録を実現~

 ソニー株式会社は2017年8月2日,IBMチューリッヒ研究所(IBM Research - Zurich)と共同で,テープストレージメディアとして業界最高の面記録密度201Gbit/inch2を達成した磁気テープストレージ技術を開発したとのニュースリリースを行った.同日,IBMは「磁気テープストレージで新記録を樹立」の題名でニュースリリース(和英)を行い,海外科学ニュースサイトのPhys.orgがこのニュースを紹介した.この成果は,つくば市で開催のThe 28th Magnetic Recording Conferenceで公開された(注).

 IoTの進展や,クラウドサービスの普及,ビッグデータの活用に伴い,データストレージメディアの大容量化への需要が高まっている.データストレージの主流は磁気ディスク装置となっているが,コスト・長期保存性・低消費電力・省スペース性に優れる磁気テープ装置が,アクセス頻度の低いクラウド上の大容量データに対しては有力な選択肢として期待されるようになった.従来,磁気テープはバリウムフェライト(BaFe)の塗布で作られて9.6Gbit/inch2の面記録密度を達成していた.これに対し今回,ソニーはスパッタ方式で,その20倍の201Gbit/inch2を実現した.従来のデータカートリッジ1巻あたり15テラバイト(TB)の記録容量を約330TBにまで高められるから,スパッタ法がコスト高でも実用上の障害にならない.

 スパッタ磁気テープは,ポリイミド基板に下部層(CoZrNb(14nm)),シード層(NiW(10nm)/TiCr(2nm)),中間層(Ru(18nmと2.5nmの2層重ね)),磁性層(CoPtCr-SiO2(14nm))を重ね,最上層にDLC(ダイヤモンドライクカーボン,5nm)保護膜を被覆した構成とした.1ビットを記憶するCoPtCr-SiO2磁性粒子のサイズは6.6±1.2nmに制御できた.磁気テープの高記録密度化には,磁気テープと磁気ヘッドの距離(スペーシング)を狭くする必要があり,表面の平坦性が求められるが,AFM(原子間力顕微鏡)で測定した表面粗さ(Ra)は0.9nmであった.また,スペーシングの縮小に伴って大きくなる磁気ヘッドとテープ表面の摩擦を減らすよう,テープに塗布する潤滑剤を新たに開発し,低摩擦特性と高耐久性という二つの特性を実現した.さらに,磁性膜の結晶配向の乱れや大きさのばらつきの元になる,製造時の不純物ガス発生を抑える新たなプロセス技術を開発し,1000mを超える長尺テープのロールツーロール方式製造技術を確立した.

 この磁気テープ技術を,IBMの開発した7nm以下の精度でのサーボ制御技術,48nmの極狭幅トンネル磁気抵抗(TMR)ヘッド,信号処理アルゴリズムと組み合わせてプロトタイプ装置で201Gbit/inch2の記録密度を確認した.今後も,さらなる高密度化に向けて磁気テープ技術の開発を進めるとしている.

(注)Simeon Furrer, Mark A. Lantz, Peter Reininger, Angeliki Pantazi, Hugo E. Rothuizen, Roy D. Cideciyan, Giovanni Cherubini, Walter Haeberle, Evangelos Eleftheriou, Junichi Tachibana, Noboru Sekiguchi, Takashi Aizawa, Tetsuo Endo, Tomoe Ozaki, Teruo Sai, Ryoichi Hiratsuka, Satoshi  Mitamura, and Atsushi Yamaguchi, "201 Gb/in2 Recording Areal Density on Sputtered Magnetic Tape", The 28th Magnetic Recording Conference(TMRC 2017), Session BP HAMR & Systems Contributed Posters, Paper No. BP-02, Presented on 2 August 2 2017; Publication of Summary: 19 July 2017; To be published in IEEE Transactions on Magnetics, DOI: 10.1109/TMAG.2017.2727822