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世界で初めて低温プラズマによる「簡便かつ高速なシュウ酸合成プロセス」を開発

 名古屋大学未来社会創造機構では,堀 勝(ほり まさる)教授,田中 宏昌(たなか ひろまさ)特任講師,工学研究科附属プラズマナノ工学研究センターの石川 健治(いしかわ けんじ)特任教授,倉家 尚之(くらけ なおゆき)博士後期課程1年らの研究で,低温大気圧プラズマを用いた新たなシュウ酸合成法を発見しました.

 シュウ酸の合成は,通常,複数の高温プロセス,生合成や触媒等によるプロセスが必要であり,複雑な化学反応プロセス工程に加え,製造法によっては数日という長時間の工程を必要としてきました.本研究では,細胞の培地に低温大気圧プラズマを照射して,マイルドな非平衡化学反応を誘起することで,超高速なシュウ酸化学合成に成功しました.本研究により,単一プロセスかつ数分という超高速の合成が期待されるとともに,超低コストの製造が可能となります.さらに,シュウ酸は,船舶等の洗浄や植物油の精製等で幅広い需要があるため,特異な結晶構造が合成されたことから,低温大気圧プラズマを用いることによって,従来では合成できない有機物,たんぱく質,無機有機のハイブリッド化合物の超高速の結晶化を実現できる可能性があります.また,シュウ酸Ca結晶は尿路結石の主成分であり,未解明の尿路結石生成メカニズム解明等,今後の医療分野への貢献にも期待がされます.

 本研究により,単一プラズマの非平衡化学反応を利用した,これまでにない高効率なシュウ酸合成に世界で初めて成功しました.

 本研究成果は,文部科学省・新学術領域研究『プラズマ医療科学の創成:プラズマ医療のための気相・表界面反応ダイナミクスの計測と体系化』(no. 24108002)の支援のもとで行われたもので,JJAP(日本)のLetters誌「Applied Physics Express」オンライン版(9巻,096201)に掲載されました.



培地へのプラズマ照射の様子(左)および生成に成功したシュウ酸カルシウム結晶の顕微鏡観察像(右)