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カーボンナノウォールの電子デバイス応用に向けた電気的特性制御

 名古屋大学・プラズマナノ工学研究センターでは,名城大学・平松美根男 教授,株式会社NUエコ・エンジニアリング・加納浩之 博士/代表取締役との共同研究により,カーボンナノ構造体の1種であるカーボンナノウォール(CNWs)の電気伝導特性制御に向けた,構造制御技術・不純物導入技術を開発しました.

 CNWsは,基板に対して垂直方向に成長した多層グラフェンシートで構成される3次元ナノ構造体です.本研究グループにおけるこれまでの研究において,プラズマ支援CVD法での成長時に窒素分子ガスを導入することによって,窒素添加CNWsを形成し,それによってCNWsの半導体的電気伝導特性を,通常のp型からn型に制御し,さらにキャリア密度なども制御可能なことを見出していました.本研究では,まずCNWsの密度が電気伝導度にどのように影響しているのかを明らかにし,更に成長後の窒素プラズマ処理によるCNWsの電気的特性制御を開発しました.具体的には,成長後の窒素プラズマ処理によって,結晶構造の変化を伴わない,窒素原子による化学修飾を実現し,これによってCNWs中の欠陥が不活化され,キャリア濃度の低減とキャリア移動度の増大が生じることを見出しました.CNWsの電子物性において,窒素など不純物の状態制御によってドナー準位の導入と欠陥準位の不活化が独立に実現可能な事を示す結果であり,CNWsの電子デバイス応用の進展が期待されます.

 本成果は,英文学術雑誌"Carbon"(DOI: 10.1016/j.carbon.2013.11.014)ならびに"Japanese Journal of Applied Physics"(DOI: 10.7567/JJAP.53.040307)に掲載されました.



CH4/H2混合ガスプラズマを用いて成長した,カーボンナノウォールにおけるキャリア密度の温度依存性(左)および,成長後窒素プラズマ処理によるホール係数とキャリア密度の変化(右)