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NanotechJapan Bulletin Vol.1, No.2, 2007 発行

拠点訪問記 — ナノテク融合技術支援センターによるイノベーション創出支援事業 —

 2007年10月5日に「ナノテク融合技術支援センターによるイノベーション創出支援事業」を運営している東北大学を訪問した.東北大学は,金属材料研究所教育研究基盤技術センターを中心とした「ナノ計測支援」,理学研究科巨大分子解析研究センターを中心とした「分子・物質合成支援」,金属材料研究所附属強磁場超伝導材料開発センターを中心とした「極限環境・強磁場支援」,工学研究科ナノマイクロマシニング研究教育センターを中心とした「超微細加工支援」の4分野でナノネット事業に参画している.

 当日は,ナノテク融合技術支援センター長である今野豊彦教授,強磁場施設の野尻教授,超微細加工施設の河合祐輔助教,分子・物質合成の山本嘉則教授,ナノテク融合支援センター事務局の千葉光子様他に面会するとともに,片平キャンパス,青葉キャンパスにある各施設の見学を行った.

 「ナノ計測支援」には,金属材料研究所教育研究基盤技術センターの百万ボルト電子顕微鏡室が対応している.ここは,原子レベルの分解能を有する透過電子顕微鏡による観察や電子線・X線回折,そして種々の分光法を駆使することにより,軽量高強度材料,アモルファス・ナノ材料,半導体といった我々の社会に必要不可欠な材料の組織と構造を原子配列にまでさかのぼって解明することを目的としている.超高圧電子顕微鏡,次世代電子顕微鏡等を用いて,ナノテクを支える物質群の組織と構造の原子レベル評価・解析支援を中心に,生産・研究へのフィードバックを行っている.


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左図:超高圧超高分解能透過電子顕微鏡(JEMARM-1250)
右図:400kV 高分解能電子顕微鏡(JEM-4000EX)


 超微細加工には,工学研究科ナノマイクロマシニング研究教育センターが対応している.フォトリソグラフィ,エッチング,薄膜堆積,接合などのための装置を,操作トレーニング付きで公開するとともに,デバイス構造やプロセス全体の技術相談に応じている.微細加工の支援は自主事業(文部科学省の委託事業外)であり,支援希望者と当グループ,双方の都合を調整して,ベスト・エフォート方式で柔軟な対応をする.活動の中心は,MEMS(超微細加工)に関する施設・装置群とノウハウの提供,およびそれに伴う支援.設備は,手作りで世界に一台しかない特殊な装置が多く,学生・技術者の教育という面でもユニークな特徴を持っている.


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左図:スパッタ成膜装置:自作スパッタ成膜装置.右図:RIE装置:自作RIE装置


 分子・物質合成は理学研究科巨大分子解析研究センターで対応している.機能性分子や医薬品原料などの機能性有機化学物の受託合成およびその構造解析を主な支援内容としている.研究者が所定の機能をもった化合物を自前で確保することは,身の回りに有機合成の専門家がいない限り至難の業である.このようなナノテク研究者のニーズに応じた研究支援事業を展開し,複雑な構造をもつ新規機能性分子の創製とX線結晶構造解析技術を有機的に結びつけたナノテクノロジー分子合成を支援している.


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左図:核磁気共鳴装置.右図:4軸X線構造解析装置


 極限環境・強磁場については,金属材料研究所附属強磁場超伝導材料開発センターで対応している.大型定常強磁場施設において実現される強磁場極限環境を用いたナノスピン系の解析支援とナノ材料のプロセス創出を支援することを主眼に運営されている.強磁場研究部では,世界最高水準の強磁場極限環境を用いてナノスピンの解析,ナノ材料のプロセス創出を支援している.ナノスピン解析では,テラヘルツ強磁場ESR装置を用いて,ナノ磁性体,ナノスピントロニクス材料のスピン磁気状態解析などを支援をしている.磁気浮上・磁場配向など強磁場環境を利用したナノ材料のプロセスも行い,非接触・大量配向が可能な強磁場配向技術,ナノ材料の形態制御を支援している.


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左図:テラヘルツESR装置(TESRA-IMR-P).右図:無冷媒ハイブリッドマグネット(28T-CHM)


 東北大学では,今回のナノネット事業を受けるに当たり産学官連携推進本部に新たにナノテク融合技術支援センターを設置して運営に当たっている.きちんとした内規,利用細則,秘密保持契約書等を整備し,学外の利用者,特に産業界の利用者が利用しやすい環境を整備していることが印象的だった.